原産協会プレスブリーフィング 世界の原子力発電設備容量3年連続で過去最高更新
高橋明男原産協会理事長は4月26日、メディア対象の定例ブリーフィングを行った。
はじめに、4月9日と10日に千代田区の都市センターホテルで開催された「第51回原産年次大会」について報告した。国内外から約740名が参加し、今回はプラントサプライヤーによる海外展開についてのセッションなども行ったことに触れた。また、大会に登壇した23歳の科学者T.ウィルソン氏について、好奇心旺盛で行動力あふれる素顔を紹介するとともに、これまで周囲で彼を支えてきたメンターの存在も大きかったのではないかとの印象を語った。
続いて、このほど発刊された原産協会の「世界の原子力発電開発の動向」2018年版について紹介した。今回は31か国、約60の原子力事業者、原子力機関、関係当局から得たアンケート調査の回答にもとづき集計。2018年1月1日現在、世界で443基(発電設備容量4億937.5万kW)の原子力発電所が運転中、63基が建設中で、89基が計画中であった。また、3年連続で世界の原子力発電設備容量が過去最高を更新している。
その後の質疑応答で高橋理事長は、経済産業省エネルギー情勢懇談会での議論について、従来の化石燃料主体ではCO2削減目標は達成できない状況であり、エネルギー変換の時期を迎えて危機感の共有がなされたとの認識を示し、2030年、2050年を見据えると、再生可能エネルギーを含むあらゆる電源を土俵に乗せて、その中で原子力発電も競争していくと読み取れるとした。
また、原子力委員会による研究開発のあり方についての見解について、例えば小型モジュール炉(SMR)開発については、民間のニーズに合ったものを開発しなければならないので、どのような方策が適切か考えてみたいとした。一方で、すでに習熟し改良される技術開発と新たな炉の技術開発ではフェーズが違い、原型炉では国が主導して、実用段階になったら民間が担うものではないかとの考えを示した。かつて実証試験等を行っていた原子力発電技術機構(NUPEC)のような機関も現在はなくなるなど体制も変わっており、課題を少し整理してみたいとした。