四国電力が使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置を規制委に申請、23年度運用開始を目指す

2018年5月28日

 四国電力は5月25日、伊方発電所における使用済み燃料の乾式貯蔵施設設置について、原子力規制委員会に審査を申請するとともに、立地自治体である愛媛県および伊方町に対し事前協議の申入れを行った(【短信】にて既報)。伊方発電所で発生した使用済み燃料を六ヶ所再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵する施設として発電所の敷地内に設置するもので、同社では2023年度からの運用開始を目指している。
 伊方発電所では、2016年に3号機が新規制基準をクリアして再稼働しており、使用済み燃料の貯蔵割合が高まっている(2017年9月末時点78%)。さらに、1号機廃止に伴い同機貯蔵分を3号機に輸送する必要から(2019年度内に完了予定)、3号機の貯蔵余裕が減少するため、2016年末より敷地内の乾式貯蔵施設の設置計画を検討してきた。
 使用済み燃料を貯蔵する方式には、プール水の中に貯蔵する湿式と、金属キャスクに入れて貯蔵する乾式があり、乾式は、湿式で十分に冷却された使用済み燃料の一部を、より安全に貯蔵するため、水や電気を使用せずに空気自然対流で冷却する。
 四国電力の発表によると、施設を構成する乾式貯蔵建屋は、使用済み燃料を輸送容器に詰め替えることなく発電所外に搬出する乾式キャスクを45基分貯蔵することができ、乾式キャスクは、「閉じ込め」、「臨界防止」、「遮へい」、「除熱」の4つの安全機能が確保されている。同社では、使用済み燃料乾式貯蔵施設の役割、乾式キャスクの仕組みや安全機能などについて説明するパンフレットを作成し理解活動に努めている。
 四国電力による申入れを受け、愛媛県の中村時広知事は、同社に対し、(1)使用済み燃料を収納する場合の温度の低下、(2)乾式キャスクに貯蔵する場合の放射線量の低下、(3)耐震性の確保――について確認した上で、引き続き、「あくまでも一時的な保管」であることを含め、丁寧な説明に努めるよう要請した。
 使用済み燃料の貯蔵能力の拡大に向けて、電気事業連合会では、電力各社共通の課題として、六ヶ所再処理工場の早期しゅん工に向けた支援とともに、技術的検討や理解活動などを進めているところだ。このほど取りまとめられたエネルギー基本計画の素案でも、「国全体として安全で安定的な貯蔵が行えるよう、官民を挙げて取り組む」と、その重要性が強調されている。