規制委が東京電力の小早川社長と意見交換、福島第一のトリチウム水処理など

2018年5月31日

 原子力規制委員会は5月30日の臨時会合で、東京電力の小早川智明社長らと意見交換を行った。同委が原子力事業者のトップを概ね月1回のペースで順次招き、原子力安全の向上に向けた取組について聴取するもの。
 小早川社長は、福島第一原子力発電所事故の反省に立ち取り組んでいる「安全意識」、「対話力」、「技術力」を柱とした原子力安全改革プランの進捗状況について説明した。「対話力」の向上としては、現場での作業効率を上げる「カイゼン指導」に経営トップ自らも参加しコミュニケーションをとることで、作業員の安全性向上にもつながったとしている。また、福島第一原子力発電所廃炉については、規制委員会の検討会が示す「リスク低減目標マップ」を踏まえ、滞留水処理では、2020年内の処理完了(循環注水冷却を行っている1~3号機原子炉建屋を除く)に向け、建屋内の水位低下を実施するなど、各分野の取組が示された。
 福島第一原子力発電所の状況に関し、更田豊志委員長が多核種除去設備での処理後に残るいわゆるトリチウム水の処分について尋ねたのに対し、小早川社長は、資源エネルギー庁の専門家委員会での検討や地元の意見を踏まえた上で、「適切に対応していく」などと応えた。処理水のタンクでの貯留量増加は、今後の廃炉作業に与える影響も懸念されるが、小早川社長は、事故の当事者として「責任主体は東京電力にある」とした上で、科学・技術的側面だけでなく、風評被害など、福島の復興に与える社会的影響に十分配慮する必要性を強調した。
 この他、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策や、現在新規制基準適合性審査が大詰めの日本原子力発電東海第二発電所への資金支援に関する質疑応答があった。