自民党議員連盟がエネ基本計画見直しで世耕経産相に提言、早期再稼働に加え新増設も

2018年6月20日

 自由民主党総務会長や内閣府科学技術政策担当相などを歴任した細田博之衆議院議員をヘッドとする「電力安定供給推進議員連盟」が6月20日、世耕弘成経済産業相を訪ね、現在見直しが進められているエネルギー基本計画について提言書を手渡した。エネルギー基本計画の改定に向けては、5月に総合資源エネルギー調査会が取りまとめた素案について6月17日まで意見募集が行われており、これを踏まえ今夏にも最終案がまとまる見込みだ。
 提言では、「わが国の産業競争力に大きな影響を与える電力のコスト削減」、「国民経済生活の基盤である電力の安定供給」、「地球温暖化対応のための温暖化ガスの大幅削減」の視点から、原子力発電所の早期再稼働を強く訴え、次期エネルギー基本計画に盛り込むべき具体的方策などを述べている。「電源構成で原子力22~20%」とする2030年エネルギーミックスの実現に向け、審査の迅速化・効率化を図るため、審査基準の明確化や審査体制・手続きの評価・見直しを行うべきとしたほか、裁判プロセスにおける国の説明責任、科学的・技術的見地に基づく運転期間の見直しなどにも言及している。
 さらに、エネルギー基本計画見直しの素案で、2050年に向けて、原子力は、「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置付けられているが、提言では、「カーボンフリーのベースロード電源として引き続き重要な役割を担う」ことを明記すべきとしている。その上で、既存プラントの再稼働に加え、より安全性・経済性の高い原子炉へのリプレース・新増設の議論を始めるよう求めたほか、AIによる設計・運転シミュレーション、廃棄物減容化、耐放射線ロボットの研究開発や、海外建設計画への参入支援など、技術・人材基盤や国際展開に関する施策の充実化も強調した。
 細田氏は、世耕経産相との会談の中で、原子力発電所の再稼働に関して、「巨額を投資し、各発電所では何千人もの人々が立ち働いている。建設中の島根3号機もほぼ完成しているがまだ運転が見通せない」などと憂慮し、「是非ともスピードアップを」と訴えた。
 これに対し、世耕経産相は、原子力に係る人材・技術・産業基盤の他、地域振興策についても実情を踏まえた上で対応を図り、「責任あるエネルギー政策を構築する」と約束した。
 会談後、報道陣の取材に応じた細田氏は、世界的なエネルギー需要の急増や地球温暖化問題などから、「化石燃料を使い続けることはできない」などと述べ、原子力エネルギーの必要性を強調した。