原子力災害時の避難円滑化でモデル実証事業、愛媛県など4件に支援

2018年6月26日

 原子力災害時に円滑に住民避難を実施するための内閣府のモデル実証事業として4件が6月22日に決定した。原子力防災対策の充実・強化を図るため、2018年度新規予算として5.1億円が計上された「原子力災害時避難円滑化モデル実証事業」で、今回、福井県、京都府(2件)、愛媛県が行う計4事業に総額4.9億円が交付されることとなった。
 愛媛県では、四国電力伊方発電所を立地する佐田岬半島が四国西北端から九州に向かって細長く伸びるリアス式のため、避難経路となる道路が限定されるほか、狭あいで急峻な箇所も多いことから、土砂災害のリスクが高く、霧発生による視界不良も課題となっている。2017年度に行われた県による原子力防災訓練でも、「複合災害時の道路事情等により速やかに避難できるのか」という住民からの不安の声もあった。これを受け、愛媛県の事業では、ドローンによる状況把握、臨時災害放送の活用による情報提供を通じた適切な避難誘導の他、狭あい箇所における車両の行き違い箇所の設置、濃霧・夜間時の通行支援に資する反射材設置などを実施する計画だ。
 また、京都府では、関西電力高浜発電所から30km圏内に天橋立や海水浴場を有することから、住民に加え観光客の一斉避難に伴う渋滞対策として、CATVや道路電光掲示板を活用した交通誘導対策や、すれ違い待避所の設置、迂回路の確保などを行う。
 「原子力災害時避難円滑化モデル実証事業」について、中川雅治内閣府原子力防災担当相は、同日の閣議後会見で、「金額まだ小さい」としながらも、「成果を全国に共有・普及してもらいたい」などと述べ、次年度以降の予算確保に意欲を示している。