日商が要望書、エネ安定供給に向けて新増設や東京五輪を活用した福島復興アピールなど

2018年7月20日

 日本商工会議所(会頭=三村明夫・新日鐵住金名誉会長)は7月19日、中小企業・地域活性化施策に関する要望書を取りまとめた。「中小企業・小規模事業者の活力強化」、「地方創生実現のための地域潜在力強化」、「消費税率引き上げに関する理解促進」、「東日本大震災からの本格復興と福島再生への支援継続」を柱に据え、2019年度予算編成の本格化を前に、関係省庁などに提出する。
 「中小企業・小規模事業者の活力強化」については、売上減少、コスト高、人手不足、経営層の高齢化など、様々な課題に直面している地域の小規模事業者への支援強化策を中心に、要望事項として計10項目を掲げた。
 その中で、「『経済成長・環境・安定供給の同時達成』を実現するためのエネルギー・環境政策の推進・構築」としては、電力コストの低減のため、安全性確保を前提とした原子力発電所の早期運転再開を筆頭にあげているほか、2030年を見据え、「新設・増設・リプレースの必要性検討」も指摘している。また、経費削減や生産性向上など、中小企業・小規模事業者が抱える経営課題の解決と省エネ推進との同時達成を図るための支援策拡充も求めた。エネルギー・環境政策関連以外では、人手不足・働き方改革関連法への対応・支援策の拡充などをあげている。4月に実施した調査結果によると、65%の企業が人手不足を訴えており(前年度調査より5ポイント上昇)、要望書では、多様な人材の確保・定着に向けた支援策の充実化、特に、専門性・技能を有する外国人の受入れを促進すべく、4月に提言した「中間技能人材」に関する制度創設について改めて求めている。
 また、東日本大震災からの復興を世界に向けてアピールすべく、2020年の東京五輪を積極的に活用すべきとしており、会期を目標とした各種インフラ整備の完了、福島県浜通りを縦断する聖火リレー、選手村やレセプションでの福島県産品の提供、外国人旅行者への観光振興などを例示している。この他、2016年の熊本地震や最近の西日本豪雨による被災地の早期復旧についても述べ、被災事業者の再開支援などを要望している。