2019年度概算要求出そろう、エネルギー基本計画踏まえ新型炉開発など

2018年9月4日

 2019年度政府予算の概算要求が8月31日までに各省庁より出そろった。
 文部科学省では、原子力関連で対前年度419億円増の1,897億円を計上した。そのうち、核燃料サイクル・高レベル放射性廃棄物処理処分の研究開発は、同92億円増の503億円となっている。高速増殖原型炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」の安全確保を最優先とした廃止措置に向け、それぞれ179億円(対前年度同額)、92億円(同約3倍)を要求した。「もんじゅ」では、廃止措置の第1段階となる燃料体取り出し作業が8月30日、2022年末の完了を目指し始まったところだ。「ふげん」については、2026年度までの使用済み燃料搬出、2033年度までの廃止措置完了を目指し、施設の解体などを実施することとしている。また、新たなエネルギー基本計画に従い、高レベル放射性廃棄物の減容や有害度の低減、再処理技術などに資する研究開発も着実に推進する。
 新規制基準への対応や安全確保対策については、412億円(同約4倍)を要求しており、日本原子力研究開発機構の老朽化施設への高経年化対策などを強化する。

「社会的要請に応える革新的な原子力開発支援事業」のイメージ(資源エネルギー庁発表資料より引用)

 経済産業省は、エネルギー対策特別会計で、対前年度508億円増の8,306億円の要求額となっており、原子力の技術開発では、「社会的要請に応える革新的な原子力開発支援事業」として新規に10億円が計上された。原子力の革新的な技術開発を行う民間企業の取組を支援し、エネルギー基本計画の掲げる「安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求」、「過酷事故を含めた軽水炉の安全性向上に資する技術や、信頼性・効率性を高める技術等の開発」といった要請に応える。2019~27年度の補助事業で、これを通じて開発された技術を標準化や原子炉への適用を図り、わが国の原子力の信頼回復、産業基盤の強化につなげていく。
 原子力規制委員会では、対前年度157億円増の699億円を要求した。新規の予算計上としては、「原子力の安全研究体制の充実・強化事業」(32億円)があり、研究機関との連携強化などを通じて、引き続き原子力の安全確保に係る人的基盤の強化を図る。また、原子力災害対策・放射線モニタリング体制の強化では、対前年度87億円増の274億円の要求額となっており、原子力災害医療体制の中核となる施設への支援を強化し、実効性確保を図ることとしている。