進む廃炉に関する技術協力、東芝プラントシステムが独NIS社と原子炉解体で基本合意など

2018年9月27日

 原子力施設の廃止措置やこれに伴う放射性廃棄物の処理に関して、他国との技術協力に向けた動きが進んでいる。
 東芝プラントシステムは9月26日、国内原子力発電所における廃炉作業に向けて、これまで欧米で数多くの原子炉解体を手掛けてきたドイツのシームペルカンプ NIS インジュニアゲゼルシャフト社(NIS社)と、技術協力を行うことで基本合意した。原子炉圧力容器および炉内構造物の解体技術を導入するためのもので、東芝プラントシステムが培ってきた原子力発電プラントの建設・メンテナンス工事における施工技術と、NIS社が保有する原子炉解体技術を融合させることで、安全性の確保とともに、解体作業の省力化・効率化と作業期間の短縮を図ることを目指す。
 廃止措置中の原子力発電プラントでは、今後数年程度の間に原子炉領域の解体開始が見込まれ、これに伴い放射能濃度の高い炉内構造物などの廃棄物が発生する。例えば、2009年度に廃止措置が始まった中部電力浜岡原子力発電所1、2号機では、2023年度にも原子炉領域の解体撤去の段階に入る計画となっている。その中で、規制上放射能レベルの比較的高いもの(L1)に区分される廃棄物については、制御棒など、長尺のためドラム缶への収納が困難なものもあり、収納効率や堅牢性に優れた容器の開発とともに、計画的に廃止措置を遂行するよう安全かつ効率的な処分方法が求められている。
 東芝プラントシステムでは、東芝グループの一員として福島第一原子力発電所の廃炉作業で手掛けてきた遠隔操作技術についても、今後の国内原子力発電所の原子炉解体に活用したいとしている。
 また、IHIは同日、韓国水力原子力発電(KHNP)と、福島第一原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物の安定化に向けた協力協定に署名した。KHNP社が実績を有するガラス固化技術の国内展開や、高温プラズマで放射性廃棄物を溶融する「プラズマトーチ炉」による二次廃棄物の低減などを通じ、福島第一の放射性廃棄物処理に技術的な見通しを目指す。
 この他、日本原子力研究開発機構も9月19日に、高速増殖原型炉「もんじゅ」と東海再処理施設の廃止措置移行を踏まえ、英国原子力廃止措置機関(NDA)との放射性廃棄物管理および廃止措置分野における協力取決めの改定に合意した。
 7月に策定された新エネルギー基本計画でも、こうした廃炉技術に関する知見を国際間で共有していく必要性が述べられており、産業界の技術力を活かしたさらなる協力強化が期待される。