「ロボットフェスタふくしま」開催、福島第一に導入された「水中ROV」のデモも

 ロボット関連の製品・技術が一堂に会する「ロボットフェスタふくしま」(福島県主催)が11月22、23日、ビッグパレットふくしま(郡山市)で開催され、およそ100の企業や大学・研究機関がブース展示を通じ、福島第一原子力発電所の廃炉、物流、災害対応、生活支援など、幅広い分野で活躍が期待されるロボット群を披露した。

IRID/東芝エネルギーシステムズによる「水中ROV」デモンストレーションの模様(写真の機材は訓練用)

 福島第一原子力発電所廃炉の関連では、国際廃炉研究開発機構(IRID)・東芝エネルギーシステムズが出展し、3号機原子炉格納容器の内部調査に導入された水中遊泳ロボット「水中ROV」のデモンストレーションを行った。3号機原子炉格納容器内部に冷却水が溜まっていることから開発された「水中ROV」は、カメラや線量計を搭載した直径約13cm、長さ約27cmの小型ロボットで、有線ケーブルによる遠隔操作で機動する。3号機のペデスタル(原子炉圧力容器下部)内部の状況が初めて撮影された2017年の調査では、溶融物が固化したと思われるものや、複数の構造物の損傷を確認することができた。

スギノマシンは福島第一への導入も見込むクローラ式小型作業ロボットを出展

 22日には、各分野における今後のロボットの活躍を展望する技術セミナーが行われた。IRIDからは奥住直明・開発計画部長が登壇し、これまで燃料デブリの調査のため導入されたロボットを紹介した上で、「狭い穴を通す必要から小型に作ってきたが、今後は色々なセンサーを搭載するため大型化していく」と述べ、水上航行のできる長さ約1mサイズのボート型アクセス装置の開発に取り組んでいるなどとした。
 今回、「福島ロボットテストフィールド」の「無人航空機エリア」が7月に一部開所したこともあり、ドローン関連の展示が目を引いたが、物流用ドローンに関して出展した日本UAS産業振興協議会の岩田拡也・常務理事は、技術セミナーの中で、「地形に依存しない」というドローン物流のメリットを強調し、「新しい供給システムが生み出される」と期待を寄せた。

物流や災害復旧で活躍するドローンの展示・デモにも関心が集まった

 また、川崎重工業の真田知典・ロボットビジネスセンター営業企画部長は、「食肉をこれだけきれいに薄く切るのは日本だけ」として、精肉量販店を例に、今後人手不足が見込まれる仕事場で消費者に満足のいく技能を発揮するロボットの開発に意気込みを示した。
 祝日の23日には、「高校生ロボット相撲全国大会」、操縦体験・工作教室「ロボットゆうえんち」など、学生・子供向けのイベントも行われた。