「東京電力廃炉資料館」が30日に開館、事故の反省と教訓を伝え現場の最新状況を発信

廃炉資料館の外観(元のエネルギー館を流用したのもので、アインシュタイン、キュリー夫人、エジソンの生家がモデルとなっている)

 東京電力は11月30日、原子力発電所事故の事実と廃炉事業の現状について、周辺地域を始めとした福島県内他、国内外の多くの方々に確認してもらえる場として、「東京電力廃炉資料館」を開館する。

「記憶と記録・反省と教訓」のエリアでは、事故対応に当たった5人の所員が「生の声」で思いを語る

 福島第二原子力発電所のPR施設として富岡町に開設されていた「エネルギー館」の建物および既存の展示機材を流用したもので、映像やジオラマを通じて、事故の記憶と記録を残し、二度とこのような事故を起こさないための反省と教訓を伝承するとともに、廃炉の全容と最新の状況をわかりやすく説明する。

福島第一の原子炉建屋内の作業状況が号機ごとに映像で説明されている

 27日、開館に先立つ報道関係者への公開の場で、「東京電力廃炉資料館」館長の嶋津康氏は、事故の当事者として「『安全は確立されたもの』というおごりと過信があった」としたほか、コミュニケーションについても「これまでしっかりと向き合う対話の姿勢が不足していた」などと、反省の意を強調した。その上で、開館に際し「少しでも福島第一原子力発電所の廃炉の現状を知ってもらいたい。来館者の声も聴きながら、最新の状況を発信できるよう展示内容を適宜見直していく」と語った。今後は、2020年に福島県が双葉町に開設予定のアーカイブ拠点施設を始め、関係施設や周辺地域とも連携を図っていくこととしている。

取材に応じる嶋津館長、JALの「安全啓発センター」や東京メトロの「安全繋想館」も参考にしたという

 資料館は、事故を振り返り反省と教訓を伝える2階のエリアと、廃炉現場の姿を伝える1階のエリアに大別されている。この他、復興関連の取組や地域情報などを紹介する「情報スペース」も順次整備される予定。開館時間は9時30分~16時30分、毎月第3日曜が休館。入館料は無料。