経団連、2050年を展望した長期温暖化対策の取組状況を公表

2019年1月16日

 日本経済団体連合会は1月15日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき政府で進められている長期戦略策定の議論を踏まえ、会員企業・団体に昨秋より呼びかけている2050年までの「長期ビジョン」の検討状況について公表した。
 2019年に日本で開催されるG20に向けて、「環境と経済の好循環を実現し、世界のエネルギー転換・脱炭素化を牽引する」決意のもと、温室効果ガス低排出型の経済・社会の発展を目指す長期戦略の策定が進められている。
 これに際し、経団連では、温室効果ガス排出量の約9割がエネルギー起源のCO2であることから、(1)エネルギー効率の向上、(2)S+3E(安全性、安定供給、経済性、環境適合性)のバランスを確保したエネルギー転換――に取り組む重要性とともに、「経営者自らが長期の温暖化対策に主体的に取り組む」との考え方に立ち、今回の「長期ビジョン」の視点も長期戦略に取り入れるべきとしている。中西宏明会長は、同日の定例記者会見で、世界のエネルギー問題に関し「再生可能エネルギーだけで賄うことは到底不可能である。原子力技術を人類のために有効に使うべき」と述べた。
 「長期ビジョン」は1月15日時点、66企業・団体で策定済み、190企業・団体で検討作業中となっており、大手電力各社でも、「電気事業低炭素社会協議会」(43社加盟、販売電力量ベースで96%のカバー率)としての策定も含め現在検討を進めている。
 一方、経団連が1997年から自主的・継続的に取り組んでいる2030年までの中期温暖化対策「低炭素社会実行計画」に関しては、現在、業種ごとに2017年度実績の評価・検証が経済産業省のワーキンググループで進められているところだ。12月に行われた資源・エネルギーワーキンググループで、「電気事業低炭素社会協議会」は、原子力発電所の再稼働、再生可能エネルギーの活用、火力発電の高効率化などの継続的な取組により、CO2排出計数が2016年度の0.516kg/kWh(CO2換算)から2017年度速報値で0.496kg/kWh(同)に減少したと説明している。