福島第一1/2号機排気筒解体は5月着手、手戻りなきようモックアップ試験を念入りに

 東京電力は1月31日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。
 使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けて3月の開始を予定していた1/2号機排気筒の解体は、追加の安全対策やトラブル発生時に備えた訓練を実施する必要から、5月中旬より着手することとなった。1/2号機排気筒については、損傷・破断箇所があることから、高さ約60~120mの上部をまず解体し耐震裕度を確保する計画だが、作業員の被ばく低減を重視し遠隔による解体工事を行なうため、2018年8月より構外(広野町)でモックアップ試験を実施している。福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は、同日の記者会見で、3号機使用済み燃料取り出しのための燃料取扱設備で発生した不具合の経験から、「一度トラブルが起きると修復が極めて困難なことを痛感した」と強調し、サイト内に入ってから手戻りのないよう年度内はモックアップ試験を継続することを述べた。
 燃料デブリ取り出しに向けて2月中~下旬に予定される2号機原子炉格納容器内部調査では、2018年1月の調査でペデスタル(原子炉圧力容器下部)底部に確認された堆積物の性状(硬さや脆さ)を把握すべく、フィンガ構造を備えた新たな調査装置を導入する。前回調査時からの変化を確認するとともに、さらに堆積物に接近して形状、表面の状態、固着状況など、より詳細な情報を収集し、今後の取り出し方法の検討に活用していく。これに続く調査に向けて、2019年度下期の導入を目指し全長約22mのアーム型アクセス装置の開発が進められているが、小野氏は「より広範囲に3次元の形状測定を行い、燃料デブリマップの作成につなげていきたい」として、同装置による本格的調査に期待感を示した。
 なお、福島第一原子力発電所の廃炉に関するIAEAレビューミッション(2018年11月)の最終報告書が1月31日に資源エネルギー庁より公表された。本報告書では、17項目の評価できる点と21項目の助言が述べられている。