エネ調原子力小委が安全性向上について議論、ガイドライン作成も検討へ

2019年2月25日

 総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=安井至・持続性推進機構理事長)は2月22日、原子力の安全性向上について議論した(=写真)。同委では、昨夏に閣議決定された新たなエネルギー基本計画における原子力の位置付けを踏まえ、12月より「安全性」、「廃炉・廃棄物」、「イノベーション」、「立地地域」の各視点から個別の議論を進めている。
 22日の会合では、関西電力原子力事業本部長代理の森中郁雄氏、電気事業連合会事務局長代理の富岡義博氏、原子力エネルギー協議会(ATENA)理事長の門上英氏が、原子力の安全性向上に向けた取組状況を発表した。
 森中氏は、2004年の美浜3号機2次系配管破損事故の反省に立ち安全文化の再構築に努めてきた経緯を述べるとともに、福島第一原子力発電所事故の教訓として、(1)現状に慢心することなく常に学び続ける、(2)設備・運用の両面から深層防護の強化に努める、(3)規制の枠組みを超えて自ら安全性を高める活動を継続する――重要性をあげた。また、国内全体でプラントの長期停止が技術伝承に悪影響を及ぼす懸念から、再稼働した同社プラントに他電力の運転員を受け入れるなど、教育・訓練に係る電力間の相互協力にも努め、今後も継続するとしている。その上で森中氏は、安全性向上活動における今後の課題として、基盤となる人材の確保、技術力の維持・向上を指摘し、「産業の根底に関わるもの。将来にわたって見える形で示すべき」と強調した。
 富岡氏は、産業界大での安全性向上に関する取組として、ATENA、電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)、原子力安全推進協会(JANSI)のそれぞれの役割と現状について整理。門上氏は、2018年7月に設立されたATENAによる技術課題への取組などを紹介し、未着手となっている規制当局との対話に関しては「早急に開始し、信頼関係を築いていきたい」とした。ATENAの活動については、2月14日に報告会「ATENAフォーラム2019」(2月15日既報)が開催されている。
 これを受け、資源エネルギー庁からは、リスクガバナンスや多様なステークホルダーとのコミュニケーションを巡り、「リスクコミュニケーションにおいて受け取る側の視座が欠けていたのではないか」といった反省から、「自主的・継続的な安全確保活動において事業者が備えるべき要素」をまとめたガイドラインの作成が提案され、次回以降引き続き議論することとなった。