政府・有識者委員会が復興基本方針の見直し案示す、2021年度以降見据え

 政府の復興推進委員会(委員長=伊藤元重・学習院大学国際社会科学部教授)は2月26日、東日本大震災からの復興基本方針の見直し案を示した。3月上旬にも閣議決定となる見通し。
 復興基本方針は、東日本大震災復興基本法に基づき、「被災した地方自治体による復興計画等の作成に資するため、国による復興のための取組の全体像を明らかにするもの」として2011年7月に策定された。そこでは、2020年度までの10年間の復興期間における支援組織として復興庁の設置が盛り込まれ、関連の法整備を経て、同庁がこれまで復興施策に関する企画・立案・総合調整の機能を担ってきた。
 今回の見直し案は、復興期間後期5年間(2016~20年度)の「復興・創生期間」におけるものとして2016年3月に改定された基本方針に対し、復興施策の進捗状況を踏まえ、(1)被災者支援、(2)住まいとまちの復興、(3)産業・生業の再生、(4)原子力災害からの復興・再生、(5)「新しい東北」創造――の今後の重点的取組を掲げている。
 さらに、「復興・創生期間」以降の復興に向けた基本的方向性として、地震・津波被災地域と原子力災害被災地域とで検討課題を大別。原子力災害被災地域については、「継続して国が前面に立って取り組む」とした上で、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な推進を始め、福島県内に仮置きされている除去土壌(帰還困難区域を除く)の2021年度までの搬入完了を目指し中間貯蔵施設の整備を進めるなどとされた。この他、住民の帰還促進・生活再建、産業の集積・発展、農林水産業の再開、風評払拭についても、これまでの復興施策を総括した上で、支援のあり方を検討するとしている。
 復興庁の後継組織や復興を支える財源・人材確保などの仕組みについては、必要な事業が確実に実施できるよう「あり方について検討する」とされたが、これに対し、岩手、宮城、福島の各県は、「復興・創生期間」終了後も支援体制・財源が確保されることを要望した。
 日本商工会議所は、2月21日に発表した提言の中で、「復興・創生期間後も省庁横断的で一元的な対応を可能とする支援体制の継続が必要」と、また、原子力災害の克服と福島の再生に向け「国主導のもと科学的知見を総動員し全力を尽くすべき」などと強調している。