更田規制委員長、福島第一原子力発電所事故から8年で所感

 原子力規制委員会の更田豊志委員長は3月6日の定例記者会見で、福島第一原子力発電所事故から間もなく8年を迎えるに当たっての所感を述べた。
 福島第一原子力発電所の廃炉に関して、「40年に及ぶ長期的スパンの中で今の状況をどう見るか」と問われたのに対し、更田委員長は「戦う対象が段々と難しくなっている」とした上で、今後の燃料デブリ取り出しに向けては「まだまだ序盤戦で敵の姿も見えない。勝負はこれから」と厳しい見方を示した。また、5月の着手が予定される1/2号機排気筒解体については、「線量が極めて高く、作業を行う上で場所の制約となっており、できれば早く手をつけるべきだった」と指摘。1/2号機排気筒は、損傷・破断箇所があることを踏まえ、まず上部を解体し耐震裕度を確保する計画だが、作業員の被ばく低減を重視し遠隔操作で実施することとなっている。
 同日の定例会合で議題となった福島第一原子力発電所のリスク低減目標にも触れながら、更田委員長は「所外に健康影響を及ぼすリスクは随分と小さくなったが、建屋内の滞留水はまだリスクが続く」とした上で、今後の廃炉完遂に向け「大事なのは作業従事者をどう守っていくか」などと述べた。
 2012年9月の原子力規制委員会発足時より委員を務め、2017年9月に現職に就任した更田委員長は、これまでを振り返り、「われわれは変えるべきところは改め、常に自らに問いかけながら仕事をしてきた」とする一方、「『難しいから』といって手を付けかねていることもある。そこにはどうしても億劫さが顔を出す」とも述べ、さらに意識改革が必要なことを強調した。福島第一原子力発電所事故から8年を迎える3月11日に、更田委員長は原子力規制庁職員への訓示を行うこととなっている。