広域機関、今夏の電力需給「予備率3%を確保できる見通し」との検証結果

2019年4月23日

 電力広域的運営推進機関は4月19日、2018年度冬季の電力需給実績および2019年度夏季の電力需給見通しについて検証した報告書をまとめた。近く総合資源エネルギー調査会に諮られ、妥当性を確認の上、今夏の節電要請の要否や来冬に向けた需給対策などが検討される運び。
 同報告書によると、昨冬は、北海道と沖縄を除いて全国の各エリアとも最大需要時の需要実績は当初の想定を下回っていた。北海道では、需要想定525万kWに対して最大需要542万kWを記録した2月8日(9~10時)、札幌市の日平均気温がマイナス11.5度Cと34年ぶりの厳しい冷え込みとなるなど、想定以上の厳寒であったことから、今後の冬季電力需給見通しに向けて昨冬の実績も反映するよう検討していく。
 また、今夏については、各電気事業者から提出された供給計画の分析などにより、「過去10年間で最も厳しい気象条件となり、一定の電源の計画外停止が発生した場合でも、全国で安定的な電力供給に必要な予備率3%を確保できる見通し」としている。
 これに関し、電気事業連合会の勝野哲会長は4月19日の月例記者会見で、節電に加え、安定供給を維持すべく依然として高経年火力を稼働せざるをえない状況にあることから、「原子力発電が、ベースロード電源として電力供給の安定に果たす役割が極めて大きい」と強調した。今夏の電力需給見通しでは、運転開始から46年を経過する東北電力東新潟火力・港1号機(LNG、34万kW)が供給力に織り込まれている。