東北経済産業局が2021年度を見据えた中期政策、「震災からの創造的復興」を標榜

 経済産業省東北経済産業局は5月15日、2019~21年度をターゲットとした中期政策を策定・発表した。2020年の東京オリンピック開催や同年度末の震災復興・創生期間終了を節目ととらえ、(1)震災からの創造的復興、(2)地域を牽引する企業・産業の持続的発展、(3)魅力ある地域づくりと世界に向けた地域のブランド化、(4)エネルギーの安定供給・資源循環型社会実現、(5)経営力向上に向けたきめ細やかな対応と事業環境整備――を5本柱に、東北地域のポテンシャルを活かし、新しい未来に向けた持続ある経済成長を目指すもの。
 福島の復興に向けては、風評被害の払拭や原子力災害被災事業者の事業再開・継続に加え、新たな企業立地や創業、交流人口の拡大への支援を行うとしている。避難指示区域の解除などにより、新たなまちづくりが進む状況を踏まえ、浜通り地域の新産業創出を目指す「福島イノベーション・コースト構想」を機軸とした産業復興を加速すべく、関係機関と連携しながら様々な施策の活用促進を図る。さらに、福島の復興において「風評被害の払拭が大きな課題」と認識し、今後東北全域で人口減少が見込まれる中、交流人口の拡大にも向けて、インバウンド需要の取り込みや復興ツーリズムの推進、新規創業促進などに取り組んでいく。
 また、中期政策では、東北地域の有する産業ポテンシャルとして、「歴史、自然や農林水産物等、東北地域の資源を活かした地域ブランド戦略の確立は重要」と強調し、ブランドの差別化、高付加価値化に向けて、商品のパッケージデザインの刷新や観光コンテンツを活かした魅力発信にも力を入れていくとしている。その一例として、2014年度から開催されている「デザインの力」で商品の魅力を引き出す取組「おいしい東北パッケージデザイン展」の優秀作がコラムで紹介されており、宮城県石巻市の「サバだしラーメン」(山徳平塚水産)ではパッケージのリニューアルで売上げが3倍増となるなど、効果をあげているということだ。