規制委、火山影響評価の新知見を踏まえ関西電力に高浜他の「バックフィット」命令へ

2019年5月29日

 原子力規制委員会は5月29日の定例会合で、大山(鳥取)の噴火に係る新知見を踏まえ、関西電力に対し、高浜、大飯、美浜の各原子力発電所について、年内までの原子炉設置変更許可申請を命ずる方向性を決めた。
 現存の高浜1~4号機、大飯3、4号機、美浜3号機はいずれも、新規制基準への適合性審査をクリアしているが、「大山生竹テフラ」(京都市内の調査地点)と呼ばれる大山火山を起源とする火山灰の噴出規模が、これまでの見解を上回る約11立方kmと評価されたことなどから、新たな知見への適合性を確認するいわゆる「バックフィット」を実施するもの。大山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にはないため、規制委員会では「直ちに原子炉の停止を求める必要はない」としている。

大山の火山灰分布調査を行う石渡委員(左から2人目、2018年10月<原子力規制委員会提供>)

 規制委員会は、「大山生竹テフラ」の噴出規模に係る新知見を踏まえ2018年12月に関西電力に命じた報告徴収で、高浜、大飯、美浜の敷地への降灰層厚が最大21.9cmであったことなどから、先の新規制基準に基づく原子炉設置変更許可時における最大降灰層厚10cmでは「不適合が認められる」とされ、今回の対応方針となった。
 規制委員会の更田豊志委員長は、会合終了後の記者会見で、今回の決定について、「自然現象に関し新しい知見が得られ、その脅威が従来より厳しいとされる場合は設計に変更を要する」と、福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえた「バックフィット」の考え方を強調した。