「原子力国民会議」が茨城支部開設、「発祥の地」から原子力の再興を

2019年6月3日

挨拶に立つ田山茨城支部代表(原子力国民会議提供)

 東日本大震災後の原子力に対する理解活動に取り組む「原子力国民会議」(共同代表=有馬朗人・元文部大臣、今井敬・日本経済団体連合会名誉会長、葛西敬之・JR東海名誉会長)はこのほど大洗町に茨城支部を開設。6月2日に同町内の千代田テクノル・コンベンションセンターで設立記念行事を開催した。支部開設は、九州、中国に続き3か所目となる。
 茨城支部代表に就任した元茨城県議会議員の田山東湖氏は、地元・大洗町で自身の社会人デビューとほぼ同時期の1968年に初臨界した研究炉「JMTR」を建設時分から見てきたとしており、同町に立地する研究施設の半世紀余りにわたる大過なき実績を踏まえ、地方創生の視点からも、高温ガス炉や「JMTR」の後継炉などに強い期待を持っている。記念行事開催に際し挨拶に立った同氏は、「原子力発祥の地である茨城県」から原子力の再興を目指す思いを、参集した約270名の来場者らに呼びかけた。
 茨城支部では、今後、(1)産官学の有識者による「原子力フォーラム茨城」(討論会)の開催、(2)「サイエンスカフェ茨城」による理解促進活動、(3)地域に根付いた活動のための基盤整備――を進めていく。一般市民が学び交流を図る「サイエンスカフェ茨城」では、異常気象の原因、家庭電気料金の内訳、放射線の人体影響、放射性廃棄物の処分問題などを取り上げ、地域住民の方々の疑問・不安に対し丁寧に応えていく。
 記念行事では、東京大学大学院工学系研究科教授の岡本孝司氏が「地球、日本、茨城のためのエネルギー戦略」と題する講演を行い、熱供給と水素製造のポテンシャルなどから、将来に向けた原子力システムとしての高温ガス炉戦略を披露した。