笹川平和財団がプルトニウムの国際管理で提言、日本が主導的役割を

2019年6月5日

 笹川平和財団(会長=田中伸男・元国際エネルギー機関〈IEA〉事務局長)の研究会は6月4日、プルトニウムの国際管理に関する提言を発表した。核兵器転用可能な核物質の削減と日本のプルトニウム利用に対する信頼性向上のため、プルトニウムの新たな国際規範を世界に普及すべく主導的役割を果たすよう政府に要請している。
 提言ではまず、プルトニウムの大量在庫が他国からの懸念を招くことのないよう、政府が原子燃料サイクルの状況に応じ適正在庫量を定義し、それ以上のプルトニウムをIAEAの管理下に置くとする「国際貯蔵」の追求をあげた。また、適正在庫量に下がるまで再処理を抑制的に行い、プルトニウムは利用計画が確立した時点で利用権を回復できるものとしており、他のプルトニウム保有国に対しても新たな国際規範となるよう日本政府から提唱することを求めている。
 また、原子力委員会が2018年7月に改定した「プルトニウム利用の基本的考え方」を踏まえ、(1)既存のプルトニウム在庫量を明記しその計画を随時公表、(2)再処理は需要が明確にされた量のみ実施、(3)再処理を実施する以前にプルトニウム利用計画を公表――する「国際管理指針」や、日米英仏露とIAEAの6者で「国際プルトニウム処分フォーラム」を設置し、既存の在庫量削減に向けた相互協力を行うことなどを提案。
 これに関し提言では、「六ヶ所再処理工場が稼働すれば、最低13基程度以上のプルサーマルが実現しないと、プルトニウムの削減は限定的となる」と指摘し、早期に削減を進めるためには国際協力のもとで、プルトニウムの在庫量の削減を進めていく有効性を強調している。
 この他、原子燃料サイクル政策に関して、使用済み燃料乾式貯蔵の早期運用や、第三者機関による「総合評価プロジェクト」の立ち上げなどを提案した。