規制委がリサイクル燃料貯蔵と意見交換、坂本社長「全力で取り組んでいく」

2019年8月7日

 原子力規制委員会は8月6日の臨時会議で、リサイクル燃料貯蔵(株)の坂本隆社長らと意見交換を行った。原子力事業者の経営幹部を順次招き、安全性向上の取組について公開の場で話し合うもので、中間貯蔵施設(むつ市、=完成予想図)を運営し再処理までの間使用済み燃料の貯蔵・管理を行う同社とは今回が初めて。
 同施設は現在、規制委員会による新規制基準適合性に係る審査が耐津波設計を巡る評価の難航などにより約5年半継続しているが、2019年2月に「津波によって貯蔵建屋が損傷した場合でも、金属キャスクが有する基本的安全機能が維持されること」を求めるとの審査方針が示されている。
 意見交換の場で、坂本社長は、中間貯蔵施設に係るこれまでの審査状況を振り返り、「規制側と十分なコミュニケーションが必要」と強調。その上で、絞られてきた論点に対し「全力で取り組んでいく」として、事業開始を目指し一層の安全性向上の取組を進めていく姿勢を示した。
 これに対し、7月に審査の一環として同施設を視察した山中伸介委員は、「建屋の堅牢性を目で見て確認できた」とする一方、「事業者自身が金属キャスクの特性を把握することが重要」として、改めて金属キャスクに係る着実な性能評価がなされるよう求めた。
 また、伴信彦委員が「士気の維持」について尋ねると、坂本社長は「日本初の中間貯蔵施設。『何としても事業を軌道に乗せたい』というモチベーションはすこぶる高い」と強調。さらに、使用済み燃料貯蔵の対象となる東京電力と日本原子力発電からの出向者が大半を占めている現状をあげ、「再処理までの貯蔵・管理という終わりのある事業であるがゆえに、プロパー社員をどう育てていくか。経験を積ませモチベーションを高めていく」と、将来を見据え意欲を示した。
 この他、厳寒地としての労働安全・実地訓練や調達管理などに関するやり取りがあった。