萩生田文科相が抱負、教育現場とも連携し原子力人材確保を

2019年9月26日

 先の内閣改造で初入閣した萩生田光一文部科学大臣は9月25日、記者団とのインタビューに応じ抱負を語った(=写真)。
 科学技術政策の関連で、原子力分野の人材育成について問われたのに対し、萩生田大臣はまず、エネルギー基本計画に記されている原子力の位置付け「安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」を改めて述べた。その上で、「事故を起こした国だからこそ、より安全性の高い原子力利用を考えることができると思う。そのためにも原子力を学ぶ人たちが失われぬよう、教育現場とも連携していきたい」と、原子力人材確保への取組姿勢を示した。
 また、大規模な国際協力プロジェクトの関連で、線形加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の日本誘致について考えを問われると、計画自体の必要性は認めながらも、「実際に建設するとなると、あまりに膨大な予算が必要。一国で抱えるには問題があるのでは」として、適切な資金配分のなされるパートナー国の模索など、引き続き関係機関と検討していく考えを述べた。
 さらに、イノベーション創出については、「研究成果を社会に還元する仕組み作りに力を入れていく。埋もれてしまっている研究も発掘してみれば面白いと思う。民間からも協力を得て是非活路を見出していきたい」と、産学官連携で取り組む考えを強調。
 萩生田大臣は、宇宙科学分野で開発されたGPSがナビゲーション・システムなどに応用されていることや、ロケット製作で開発された断熱材が住宅に、無重力環境に対応するトイレが介護問題にも資する可能性に言及したほか、「日本のものづくり産業の礎」として、高専による実践的な技術者教育の重要性も強調した。