原産協会WNU-SI報告会開催、5名の研修参加者が成果や所感を発表
原産協会が「2019年世界原子力大学・夏季研修(World Nuclear University/Summer Institute:WNU-SI)」への日本からの参加を支援した研修生による報告会が10月16日に行われた。WNU-SIは、毎年夏に世界30か国以上から若手実務経験者が集まり、原子力に関連する国際機関や各国の現役リーダーから講義を受けるとともに、少人数での議論やプレゼンテーションを行う合宿形式の研修で、今回は6月23日~7月27日の5週間、ルーマニア(ブカレスト)とスイス(バーデン)で開催。報告会では、5名の研修生、市川博也氏(東芝エネルギーシステムズ)、原達矢氏(関西電力)、文野通尚氏(日立GEニュークリア・エナジー)、松永尚子氏(三菱重工業)、湯淺雄一郎氏(東京電力ホールディングス)が、それぞれ研修の成果や所感を発表した。
開会に際し、植竹明人常務理事が挨拶に立ち、故向坊隆氏の遺功を後世に託すべく2008年度より実施されている同国際人材育成事業の実績を振り返り、「若手は貴重な人材。国際舞台で大いに活躍してもらい、20~30年後に人的ネットワークが形成され、原子力産業界に還元されることを期待する」と述べた。
各研修生からの報告の中で、市川氏は、WNU-SIの50項目にわたる講義内容を図示し、「幅広く色々な知識が得られた」としたほか、原氏も、ストレスとリーダーシップについて学ばせる戦略ゲーム形式のグループワークを紹介し、「社内の研修ではこれまで経験がなく、今後の業務に活かせると感じた」と、成果が得られたことを強調。
また、松永氏は、テクニカルツアーの所感を発表。スイスのゲスゲン原子力発電所を訪れ「女性の運転員を採用していることや予想外に市街地と近い立地に驚きを感じた」としている。湯淺氏は、福島第一原子力発電所事故に対する各国参加者の関心の高さをあげ、「様々なチャンネルを通じて最新の状況を伝えることが必要」と、海外への効果的な情報発信の重要性を強調。
参加者主体のミニ講義が印象に残ったという文野氏は、研修を通じた所感として、CO2排出削減に関わる原子力の重要性や初期投資の小さいSMRに関心を持つ国が多かったとするとともに、英語でのコミュニケーションの難しさもあげた。
次回のWNU-SIは、日本での開催が計画されており、報告を行った研修生からは、提案や留意点なども述べられた。