福島第一1号機使用済み燃料プールからの取り出し、大型カバー先行設置へ

 東京電力は12月19日、福島第一原子力発電所1号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しについて、「大型カバーを先行設置し、カバー内でガレキ撤去を行う工法」をとることを発表した。「ガレキ撤去完了後に燃料取り出し用カバーを設置する」プランと合わせて検討が進められていたが、ダスト飛散対策、作業員被ばく、雨水対策(汚染水発生の抑制)、周辺工事への影響を総合的に評価し今回の選択となったもの。
 1号機使用済み燃料プールには、新燃料100体と使用済み燃料292体が保管されている。原子炉建屋を高さ約65mで覆う大型カバー内で約360トンの天井クレーンを用いてガレキを撤去した後、燃料取り出しを行うこととなるが、福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は同日の記者会見で、「大熊町でも住民の方々の帰還が進んでおり、ガレキ撤去はこれまで以上に慎重に行わねばならない」と、安全最優先で作業を行う考え改めて強調した。東京電力では1号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに関する 動画 を公開している。
 現行の福島第一廃止措置中長期ロードマップで、1号機使用済み燃料プールからの燃料取り出し開始は2023年度目処となっているが、2日の経済産業相をヘッドとする廃炉・汚染水対策に関するチーム会合で示されたロードマップ改訂案では、2031年末までに全号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出し完了を目指すとされている。
 また、小野氏は、2号機から着手する燃料デブリ取り出しについて、2月に実施した原子炉格納容器内部調査を振り返り、「堆積物を動かせることが確認できたのは非常に大きい」とした。その上で、今後行う試験的な少量取り出しに関し「数グラムのオーダーで何度か繰り返す。どのくらいの固さか把握することが重要」と、本格的な取り出しに向けたツールの開発に資する考えを示唆。試験的な取り出しに用いる最大約22m長のロボットアームは現在英国で製作中だが、これまでに発生した3号機燃料取扱設備などのトラブルを「痛い経験だった」と省み、点検・保守や訓練を着実に行う重要性を繰り返し述べた。