規制委が東京電力・小早川社長らと意見交換、福島第一の現場対応など

原子力規制委員会と東京電力が意見交換(東京・原子力規制委員会庁舎にて)

 原子力規制委員会は1月16日の臨時会議で、東京電力ホールディングスの小早川智明社長らと意見交換を行った。同委が原子力事業者の経営層を順次招き実施しているもの。
 小早川社長は、福島第一原子力発電所の廃炉作業に関わる最近のトラブル事例に関し、「現場/現物を徹底的に把握できていない」との共通要因が存在すると分析。その上で、分析結果は、昨秋に規制委員会の現地事務所が指摘した「現場に目が行き届いておらずトラブルが多発」などの背景となっているとして、今後のプロジェクト遂行と安全・品質向上に適した組織改編と合わせ、本社から現場へ70~90名の要員シフトを図る考えを示した。

意見交換の後、取材に応じる小早川社長

 これを受け、更田豊志委員長は、「現場へのリソース投入」の必要性を繰り返し述べ、トラブルを受けて進められている改善活動がインセンティブを与えるものとなるよう切望。小早川社長は、協力企業と協働した現場/現物の徹底把握を通じ無事故・無災害を達成したフランジ型タンク解体工事の事例を紹介し、「改善活動が効果を上げた事例を活かしていきたい」と強調。さらに、2018年に発生した3号機使用済み燃料プールからの取り出しに用いる燃料取扱い設備のクレーン不具合を振り返り、部品の海外調達にも鑑み「標準化の重要性を感じている」として、品質管理上の問題への対応も含め、改善活動は広範囲にわたる認識を示した。
 12月末に福島第一廃炉の中長期ロードマップが改訂され、2号機からの燃料デブリ取り出しが明記されたが、小早川社長とともに意見交換に出席した福島第一廃炉推進カンパニープレジデントの小野明氏は、「今後は分析業務が重要となってくる」として、現場の変化に応じた人材確保・技術力向上に努めていく考えを強調した。