ITER「幅広いアプローチ活動」が新たなフェーズへ、ベルギーで日欧共同宣言署名式

署名式に臨む兒玉大使(左)とシムソン委員(文科省Facebookより引用)
萩生田光一文部科学大臣は、ビデオメッセージの中で、「エネルギー問題と環境問題を根本的に解決する」と、核融合エネルギーの実現に期待を寄せたほか、ITER計画やBA活動など、様々な協力を通じ日欧間の友好関係をさらに強化していく意欲を示した。
BA活動では、(1)サテライト・トカマク(JT-60SA)、(2)国際核融合材料照射施設工学実証設計活動(IFMIF/EVEDA)、(3)国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)――の3事業が日本を拠点に2007年より進められている。共同宣言に基づき、2020年3月までのフェーズIで得られた成果を受け、新たなフェーズIIへと移行する。
例えば、量子科学技術研究開発機構那珂核融合研究所(茨城県那珂市)で建設が進められている「JT-60SA」では、2019年5月に心臓部ともいえる世界最大級の磁場コイル「中心ソレノイド」の据え付けが行われた。「JT-60SA」は、3月中の組立作業完了が見込まれており、4月以降のフェーズIIでは、まず今秋にもファーストプラズマを達成した上で、様々なデータを取得しITERの運転シナリオ開発に活かしていくほか、ITERではできない高出力運転など、発電実証を行う原型炉の開発に向けた挑戦的研究にも取り組む。
2025年のファーストプラズマ達成を目指しフランス・カダラッシュで建設が進められているITERは約67%の進捗率となっている(2019年末時点)。