九州経済連合会がエネ戦略で提言、「再稼働の先行アドバンテージ」強調

2020年3月5日

 九州経済連合会はこのほど、「ゼロエミッションを先導する九州のエネルギー環境・産業の再構築」と題する提言を取りまとめ発表した。
 九州経済界が人口減少・少子高齢化、太陽光普及に伴う出力抑制、自然災害の頻発化などの諸課題に直面している現状下、全国比27%高のエネルギー自給率、同11%低のCO2排出量、同8%低の電気料金を「九州の強み」ととらえ、「チーム九州経済界」となってエネルギー分野の戦略的取組を通じ、日本の経済発展につなげようというもの。戦略軸として、(1)再エネの主力電源化、(2)蓄エネ(蓄電池、エコキュートなど)の社会実装、(3)脱炭素化の面的展開(デジタル技術の活用など)、(4)原子力の着実な運用、(5)環境ブランドの構築――を掲げ、ゼロエミッション化、イノベーションの牽引、地域活性化、世界展開を先導していくとしている。
 九州地域では、2015年に九州電力川内原子力発電所1、2号機が先陣を切って新規制基準をクリアし再稼働した。現在国内で再稼働した原子力発電プラント9基中4基が九州地域に立地しており、今回の提言では、「再稼働の先行アドバンテージをいかに継続するか」との認識のもと、安定運転の継続と技術・人材の維持を柱に、必要に応じ九州電力が中心となって取り組む広報・政策要望への支援を行い、「3E+S」(安定供給・経済効率性・環境への適合+安全性)の達成を図るとしている。
 また、再生可能エネルギー関連では、九州・沖縄・山口について、地熱では53.5%、太陽光では22.6%、バイオマスでは20.8%などと、全国の発電実績に占めるシェアを例示した上で、2030年度の導入見通しから経済波及効果を合計55兆円と試算。さらに、地政学的優位性として、インド、ベトナム、台湾など、アジア再エネビジネス市場への参入も有望とみている。