IAEA会議へ政府報告書 過酷事故対策を強化へ

2011年6月10日

政府・原子力災害対策本部は7日、「東京電力福島原子力発電所の事故について」と題する報告書を発表した。20日からウィーンで開かれるIAEAの原子力安全閣僚会議に日本政府として報告するもの。本報告書は、事態が未だに収拾には至っていないことから、対策本部下に組織された政府・東京電力統合対策室が中心となって進めてきた事故収束に向けた取組を踏まえ、これまでに得られた事実関係をもとに、事故の評価や教訓を暫定的に取りまとめた。


報告書はまず、「高い透明性をもって情報を公開することを基本」とする方針を示した上で、事実関係を正確に記載すること、判明していることと未だ判明していないこととの区別を明確にしておくことなど、留意点を掲げ、5月31日までに判明したことに基づいて記述している。


事故の発生と進展に関しては、第一発電所で運転中だった1〜3号機が地震によって自動停止、同時にすべての外部電源が失われ、非常用ディーゼル発電機が起動したものの、津波の影響を受けて、これらも停止したことから、原子炉圧力容器へ注水できない事態が一定時間継続し、炉心の核燃料が水で覆われずに露出、炉心溶融(コア・メルト)に至り、その一部が原子炉圧力容器の下部に溜まったと推移を説明。また1〜3号機の炉心状態については、圧力容器の底部が損傷し、燃料の一部が格納容器のドライウェルフロアに落下して堆積している可能性も指摘した。


福島第一原発免震重要棟で事故説明を受ける菅首相(左から2人目=3月12日朝=官邸撮影)

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