民間事故調が報告書発表 産官学と立地自治体の構図で 「絶対安全神話」崩せず

2012年3月1日

財団法人「日本再建イニシアティブ」(理事長=船橋洋一・朝日新聞社元主筆)が立ち上げた「福島原発事故独立検証委員会」(委員長=北澤宏一・前科学技術振興機構理事長)は2月28日、調査・検証報告書を発表し(=写真)、同日、野田佳彦首相に手渡した。報告書では、原子力発電所の建設の歴史の中で、「産官学と原発立地自治体の原発推進派」による“ヨコとタテの原子力ムラ”が形成され、「電力会社も規制官庁も、『住民に不安と誤解』を与えかねないむき出しの安全策や予防措置を嫌った」ため、「人々の『小さな安心』を追い求めるあまりに、国民と国家の『大きな安全』をおろそかにする原発政治と原発行政が浸透した」と厳しく根源的問題を指摘し、その結果、「絶対安全神話」を生み、より安全性を高める安全規制も安全措置も採用することのできない“自縄自縛”に陥ってしまった、と分析している。

同委員会は、政府事故調や国会事故調とは別に、昨年10月から民間としての独自の立場から同事故の検証を行うことを目的に設置(=4面に委員名)。それに約30人の若手研究者やジャーナリストのワーキンググループ委員が300人以上の関係者にヒアリングし、分担して報告書の草案を取りまとめたもの。

民間事故調が報告書発表 産官学と立地自治体の構図で 「絶対安全神話」崩せず