2021年度定時社員総会 今井会長挨拶

2021年6月18日

日時:2021年6月17日(木)15:00~
場所:日本工業俱楽部

日本原子力産業協会会長の今井でございます。定時社員総会の開会にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

本総会は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長を受け、従来の形式を変更して開催しております。

このような状況下、原子力発電所の運営や広く原子力産業の推進に携わっておられる会員の皆さま方に、この場をお借りして、敬意と感謝を申し上げます。

昨年10月、我が国は「2050年カーボンニュートラル」を宣言いたしました。

また、今年4月には、2030年度までの温室効果ガス排出削減目標を、従来の2013年度比26%減から、46%減へと大きく引き上げました。

こうした極めて野心的な目標達成のためには、確固たるエネルギー政策に基づいて、発電、運輸、産業部門など、あらゆる分野において脱炭素化を強力に進める必要があります。

言うまでもなく、エネルギーは国民生活や産業・経済活動の基盤であり、正に国の根幹を左右するものであります。したがって、エネルギー政策の決定については、理想論だけでは国の将来をリスクに晒すことになりかねません。

環境性のみならず、安定供給性、経済性、実現性など、現実を踏まえた、地に足が付いたものとなることが重要であります。

この様な意味で原子力は、安定供給の観点から極めて強靭で、経済性にも優れ、かつ環境に対し、持続可能な最も信頼できる電源の一つであります。

世界的にも原子力発電の評価は益々高まっております。

これらの視点を踏まえ、次期エネルギー基本計画の策定においては、原子力発電の強みが正当に評価されることが極めて重要であります。

原子力依存度を低減させる方針が見直され、将来にわたる原子力活用も視野に、新増設・リプレースなどについても、前向きな言及がなされることを、当協会として改めて強く求めたいと思います。

さて、当面のマイルストーンである2030年まで、残り9年しかありません。

時間が限られている中、二酸化炭素の排出量を確実に削減するには、既にある原子力プラントの徹底した活用が何よりも効率的であります。

原子力産業界としては、安全を最優先に、早期の再稼働実現、運転期間の60年への延長、定期検査の効率化による設備利用率の向上に取り組む必要がございます。

また、懸案である原子燃料サイクル事業や高レベル放射性廃棄物の処分事業についても、着実に前進させていかなければなりません。

いずれにしましても、原子力が社会に貢献し続けるためには、立地地域はもとより、社会全体の理解が必要であります。

原子力産業は、国民から信頼される産業であり続けなければなりません。

残念ながら、これがまだ若干不足しております。

たゆまぬ努力により、安全、かつ安定した稼働実績を国民に示していくことが、何よりも重要であります。

当協会は、引き続き、
●「国民理解の促進」
●「人材の確保・育成」
●「国際協力」

これらを柱に、放射線利用も含めた原子力産業の環境整備に資する取り組みを積極的に展開してまいります。

今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。

ご清聴有難うございました。

以 上

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