2025年度 定時社員総会 三村会長挨拶
日時:2025年6月13日(金)15:00~
場所:日本工業俱楽部3階 大ホール
日本原子力産業協会会長の三村でございます。
本日はご多用中のところ、「2025年度定時社員総会」にご出席いただき、誠にありがとうございます。総会の開会にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
本年2月18日、第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。これまでの「原子力依存度低減」に代わり、「原子力の最大限活用」が明確に打ち出され、加えて、ファイナンス、サプライチェーン、人材確保・育成といった課題への対応も盛り込まれたところです。
原子力政策がようやく正常化し、このように力強く前に進みはじめたことは、原子力産業界全体にとって心強いかぎりです。
一方で、4月の年次大会でも申し上げたとおり、この生まれ変わった原子力政策を具体化するためには、私たち産業界が果たすべき役割をしっかりと果たしていかねばなりません。そのための不断の努力と準備が、今、求められており、この観点から本日は3点申し上げます。
まず一点目は、既設プラントの再稼働と、建設中プラントの早期完成についてです。昨年は、女川2号機、島根2号機の再稼働が実現し、BWR系サプライチェーンへの朗報となりました。しかし、全国にある既設および建設中の36基のうち、実際に稼働しているのは14基にとどまっております。
エネルギー安全保障に優れ、廉価で、かつ、脱炭素電源でもある原子力の最大限活用は、わが国の持続的な経済成長の観点からも強く求められています。
関係者の総力を結集して、一日も早い再稼働と建設中プラントの早期完成に取り組み、次世代を担う若者たちに、プラントが動く際の感動や使命感を、しっかり引き継いでいく必要があります。
二点目は、新規建設の具体化です。持続的な原子力の最大限活用を実現するには、新規建設の具体化・早期着手が不可欠です。それはまた、サプライチェーンの維持や人材確保・育成といった、産業界が直面する課題解決の鍵でもあります。
電力需要の増加が見込まれる中、廉価で安定した脱炭素電源を確保できるかどうかが、今後の経済成長や産業競争力を左右します。このことから、エネルギー多消費型産業や金融業界からも、新規建設への関心が高まっています。
政府におかれては、新規建設のリードタイムの長さを踏まえ、資金調達や投資回収を支える事業環境の整備を、早急に進めていただく必要があります。
一方、私たち産業界は、新規建設計画の具体化と、さらには、新規建設をしっかり実現するための人材確保・育成と、サプライチェーンの強化に取り組んでいかなければなりません。
三点目は、原子燃料サイクルの確立と、高レベル放射性廃棄物の最終処分についてです。青森県六ケ所村においては、ウラン濃縮工場が運転を再開し、再処理工場とMOX燃料工場の建設も着実に進められています。昨年11月には、むつ市において、使用済燃料中間貯蔵施設が本格操業を開始しました。
これらの施設は、原子力の血液循環系とも言えるものであり、その完成と安定操業なくして、原子力の持続的で最大限の活用はありえません。こうした原子燃料サイクルの整備は、今年度がまさに正念場であり、関係各社は、力をあわせて事業をさらに前に進めていただきたいと思います。
また、高レベル放射線廃棄物の地層処分については、北海道寿都町と神恵内村での文献調査結果の説明が進み、現在は佐賀県玄海町でも文献調査が始まっています。この課題は私たちの世代が責任を持って進めるべきものです。原子力産業界として、国およびNUMOとしっかり連携し、その着実な前進を支えてまいります。
最後になりますが、福島第一原子力発電所事故の反省と、福島の復興は、原子力産業界があらゆる事業を進めていくうえでの原点であります。先の年次大会では、地元の皆さまから多様で着実な復興の様子を伺うことができました。
また、福島第一原子力発電所においては、昨年11月に続き、本年4月に二回目となる燃料デブリの試験的取り出しが実施され、着実な前進が見られました。私たちはこれからも福島とともにあり続け、地域の再生と復興に貢献していく所存です。
将来にわたって原子力を最大限活用していくためには、不断の安全性向上に努めながら、産業界が一丸となって多くの課題に立ち向かうことが不可欠です。
会員の皆さまの、倍旧のご支援・ご協力をお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。
以 上
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