日本原子力産業協会会長 年頭挨拶

一般社団法人 日本原子力産業協会
会長 三村 明夫

新年あけましておめでとうございます。今日は800人近くの皆様にお集まりいただいて、このように盛大に新年の集いを催すことが出来ましたことを心から御礼申し上げます。

まず初めに、年末年始を通じて、電力の安定供給にご尽力いただいた全国の発電所・事業所・保守運用等の現場の皆様に、心より感謝申し上げます。皆様のおかげをもちまして、穏やかな新年を迎えることができました。

さらに、日本の電力需給上、原子力発電が現実解として社会に受け入れられるようになりましたが、これを可能にした関係者のご努力にも深く感謝したいと思います。

昨年11月にブラジルで開催されたCOP30では、「原子力三倍化宣言」への支持国が33か国へと拡大するなど、世界ではエネルギーの安全保障と脱炭素の両立を図る原子力へのニーズが高まり、原子力活用のモメンタムがますます拡大しております。

昨年は、こうしたモメンタムを後押しする様々な動きがありました。具体的には、世界有数の金融機関16社がファイナンス支援を表明したほか、世界の大手IT企業など14社が三倍化宣言を支持する誓約書に署名しました。さらに、これまで原子力に対して消極的だった世界銀行やアジア開発銀行も、原子力プロジェクトへの融資を解禁し、途上国での原子力開発への道が大きく開かれました。

こうした国際的な原子力利用の拡大を背景に、今後、わが国原子力産業の事業機会がますます拡大していくと予想されます。

国内に目を向けますと、昨年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、原子力の「最大限活用」が明記され、再稼働の加速とともに次世代革新炉の開発・設置への道筋が示されました。現在、より具体的な開発目標やその実現に向けた事業環境整備についての議論が行われていると考えています。

一方、産業界でも着実に歩みを進めました。昨年11月に関西電力が美浜発電所後継機の自主的な現地調査の再開を発表しました。また、昨年末には泊3号機、柏崎刈羽6号機および7号機の再稼働に向け、知事のご理解が得られました。再稼働の実現に向けては、安全確保と地域の皆さまのご理解が前提であり、事業者におかれては、丁寧な説明と真摯な対話を重ね、安心と信頼の醸成に努めていただくことを期待しております。

高市政権が11月21日に発表した「強い経済」を実現する総合経済対策で、原子力発電所の再稼働、次世代革新炉の実現が国家の成長戦略の中核に位置付けられました。今やわが国の産業競争力、技術開発において、原子力に期待される役割はかつてなく大きくなっています。

原子力がそうした役割を果たしていくためには、たとえば、原子力発電所の新設を例にとれば、計画から廃炉まで約100年を要することになりますが、その間に発生する様々なリスクについて、官民がどのようにシェアするのかを明確にし、未来への確かな基盤を築いていくことが何より重要です。国においても、産業界の切実な声に対し具体的な事業環境整備の一層の加速をお願いします。

また、原子力の最大限活用を支える人材の確保・育成は、産業界にとって喫緊の課題です。とりわけ、原子力発電所の新規建設は、技術と人材を次世代へ確実につなぐ基盤であり、我が国の原子力の未来を担う若者に夢と希望を与える重要な意義を有しています。原子力産業が一丸となり、総力をもって実現を図っていかなければならないと考えています。

持続的に原子力を利用するには、原子燃料サイクルの整備も不可欠です。六ヶ所村の再処理工場とMOX燃料工場は、それぞれ 2026年度、2027年度竣工予定とされ、事業の実現がいよいよ射程に入っています。

中間貯蔵施設についても、中国電力は昨年8月に山口県の上関町の調査で、「技術的に対応できない問題はない」との評価を示し、今後の円滑な進展が期待されます。高レベル放射性廃棄物の最終処分では、北海道の寿都町・神恵内村での文献調査報告書提出に加え、佐賀県の玄海町でも文献調査の申し入れが受諾され、対話が進められています。

福島第一原子力発電所事故の真摯な反省は、産業界が忘れてはならない原点です。廃炉については、ALPS処理水の海洋放出が安全に継続されているほか、昨年4月には、2回目の燃料デブリ試験的取り出しが成功しました。今後も安全確保を第一に進めていただきたいと思います。

高速炉、高温ガス炉、フュージョンエネルギーなどの技術開発は、若い研究者・技術者が大きな挑戦へと踏み出す“新たな舞台”であります。こうした挑戦の積み重ねこそが、日本の未来への、かけがえのない贈り物であり、次世代が、夢とやりがいを持って活躍できるフィールドを整えていくことは、産業界に課された重要な課題です。

このように課題は山積しておりますが、当協会としては、原子力の最大限の活用の未来を切り拓くため、次の三点に注力してまいります。

第一に、新規建設の早期実現に向けた事業環境整備です。資金調達、投資回収、サプライチェーン維持・強化など、産業界の声を反映し、新設プロジェクト前進のため貢献してまいります。

第二に、原子力産業の持続的発展のため人材確保・育成の課題に取り組みます。来る4月の第59回原産年次大会では、人材をメインテーマに取り上げ、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)との共催のもと、国際的視座も踏まえつつ、わが国における人材の確保・育成のあるべき姿について、議論を深めてまいります。

そして第三に、国際連携の推進です。国際機関や海外産業団体とも協力し、世界的な原子力活用モメンタムの維持あるいはわが国産業界の海外事業機会の拡大への寄与など、会員企業の国際展開を後押ししてまいります。

原子力に関わる多くの課題に取組み、将来にわたり原子力の最大限の活用を実現するためには、本日お集まりの皆さまのお力を結集し、一丸となって進めていくことが不可欠です。

また、ご承知の通り、原子力産業は、社会から高い信頼を求められると同時に、厳しい視線にもさらされています。その信頼は、日々の事業活動の積み重ねによってのみ支えられていることを、我々は改めて意識する必要があります。

当協会はその一助となるべく全力を尽くしてまいりますので、皆さまの一層のご支援、ご協力をお願い申し上げ、私からの新年のご挨拶とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。

以 上

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