2024年の年頭にあたり

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

謹んで新年の御挨拶を申し上げます。

まずもって、令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

さて、昨年12月に開催されたCOP28では、パリ協定で定めた各目標に対する進捗状況を5年ごとに包括的に評価する「グローバル・ストックテイク(GST)」が初めて実施され、温室効果ガス排出削減のために、原子力を含む排出ゼロおよび低排出技術を加速させるとの文言がその成果文書に盛り込まれました。COPの公式文書において原子力の低炭素価値が認められ明記されたのは、COP史上初めてであり大変意義深いことです。

また、日本をはじめとする米英仏加など25か国が、パリ協定で示された1.5℃目標の達成に向け、世界の原子力発電設備容量を2050年までに3倍に増加させるという野心的な目標を掲げた閣僚宣言に署名しました。これを受け、当協会は原子力産業に係る世界の関係団体、企業120者と共同で、目標達成に向け取り組むことを誓約しました。COPにおける原子力のプレゼンスは年々高まっており、原子力が気候変動対策の有効な手段になるとの認識も確実に浸透してきています。

国内においても、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長を同時に実現する政策が進展しています。昨年2月の「GX実現に向けた基本方針」、それに続く「GX脱炭素電源法」の国会決議や、「今後の原子力政策の方向性と行動指針」の決定など、既存炉の最大限活用や次世代革新炉の開発・建設を含めた政策・指針が明確に示されたことは、原子力産業界にとって大きな前進です。

わが国原子力産業界としては、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、常にたゆまぬ安全性向上を図りつつ、原子力発電所の早期再稼働、新規プラントの開発・建設、原子燃料サイクルの確立、福島の復興、産業基盤の維持、国際連携の強化など、原子力関連事業を通じて社会に貢献するという責務を果たしていく必要があります。

2024年の年頭にあたり、当協会の本年の取り組みについて4点を述べたいと思います。

<原子力発電に対する理解の促進>

わが国がエネルギー政策として原子力利用を進めていくためには、国民の原子力に対する理解が欠かせません。新規建設を含む原子力の最大限活用や放射線・ラジオアイソトープ利用に関する理解の促進に向けた意見、提言を発信してまいります。また、メディアとの対話や、各種ツール(原子力産業新聞、ウェブサイト、SNS、メルマガ、書籍等)を活用した情報発信を通して、原子力が持つ価値を訴求するとともに、次世代層に向けた理解促進や地域関係組織などと連携した双方向の理解活動に努めます。

<福島復興支援>

昨年8月、東京電力ホールディングス株式会社は福島第一原子力発電所ALPS処理水の海洋放出を開始しました。当協会では、国際連携やウェブサイトを通じて、海洋放出に関する国内外への正確な情報提供と理解の促進に努めて参りました。今後も、風評払拭にむけた福島に関する情報の発信、現地視察会の実施等に取り組んでまいります。

<人材確保・育成>

原子力産業の持続的な維持・発展を支えるためには、幅広い分野で継続的な人材の確保と育成が必要です。若い世代に原子力が夢とやりがいのある魅力的な産業であることを知ってもらい、産官学連携のもとに、国全体として整合性をもって効率的、効果的かつ戦略的に育成活動を進めることが重要です。

当協会では、学生と会員企業等とが早い時期に出会い、就業につながるような機会や場として、学生を対象としたセミナー等を開催するとともに、「原子力人材育成ネットワーク」の共同事務局としての役割を通じて、原子力人材の確保と育成への取り組みを進めます。

<国際協力>

脱炭素社会の実現に向けて、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの両立を可能とする原子力への評価は世界的に高まっています。

当協会は、長年に亘り培ってきた海外関係機関からの信頼と交流実績を活かし、二国間・多国間及び国際機関との連携協力を通じた共通課題への対応や、国際的な機会における原子力の重要性の発信、我が国の原子力産業の海外展開に関わる各種課題の検討と海外とのビジネス交流促進を図り、わが国原子力のプレゼンス向上や実情理解の促進を図るとともに、広く原子力産業の持続的発展と原子力理解の醸成に資する活動に取り組みます。

当協会は、会員の皆さまとともに原子力産業の諸課題解決に向けた取り組みを全力で進めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

以上

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