第31回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2022年9月22日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2022年9月22日開催の第31回原子力小委員会において、原子力政策に関する今後の検討事項について、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

先月のGX実行会議では、原子力発電の安定供給や経済性など国民経済・社会への価値が評価され、安全確保と国民理解を大前提に、再稼働へ総力を結集すること、運転期間の延長を含めた最大限の活用、次世代革新炉の開発・建設、再処理、廃炉、最終処分について国が前面に立って検討が進められることになったと認識しております。原子力産業界は、社会の要請をしっかりと受け止め、原子力を最大限活用できるよう対応していく所存です。

検討事項の整理に関して3点申し上げます。

1点目は、早期再稼働についてです。

わが国の2030年、2050年のCO2削減目標の達成には、まずもって原子力発電の再稼働が必須です。
設置変更許可済7基および審査中10基の早期再稼働に向け、安全対策工事や審査対応に関して、原子力利用の国民的利益、地球環境への影響緩和を主眼に、事業者と国がそれぞれの役割をしっかり果たしていくことが必要と考えます。

2点目は、運転期間の延長についてです。

経年劣化を起因とした原子炉施設の運転期間の上限は、法律等により一律に定めるというよりも、取替困難な設備・機器の劣化状況に着目して、科学的・技術的に評価し見極めるべきものです。
IEAなど国際機関も指摘している通り、既存原子炉施設の運転期間の延長は、安定供給を確保した上で最も経済性のあるCO2削減対策です。原子力発電を利用する世界各国では、評価の上積極的に運転期間を延長しています。
経年劣化に関する技術的な知見の拡充と蓄積に取り組むと共に、既存原子炉施設は積極的に運転期間を延長し最大限活用すべきと考えます。

3点目は、新増設・リプレースについてです。

既存の原子炉全機の運転期間を60年に延長しても、2040年以降は大幅に設備容量が減少する見込みです。原子力発電を持続的に活用していくためには、新増設・リプレースが欠かせません。
原子力産業界としては、国に長期的視点に立った明確な方針を示して頂きたいと考えます。電気事業者が新規建設を決定するためにも、サプライチェーン企業が人材を確保・育成し、必要な事業関係投資を行うためにも、国の明確な政策と長期的な事業予見性が必要です。また、事業環境整備には時間を要する課題も多く、速やかな検討開始が必要と考えます。

以上

<参考>

・第31回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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