第32回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長発言内容

2022年10月13日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

2022年10月13日開催の第32回原子力小委員会において、新井理事長より専門委員として以下の発言を行いました。

2点申し上げます。

1点目は、安全性向上についてです。

原子力発電所では、厳しい新規制基準に沿った適切な対策工事を行い、運転・保守を行っていくわけですが、規制の枠にとどまらず、自主的継続的にたゆまぬ安全性向上の努力を行っていることが電気事業連合会から報告されました。またJANSI(原子力安全推進協会)からは、こうした事業者の取組みを、独立した立場で、事業者同士のピアプレッシャーや良好事例の共有を通じて牽引していることが報告されました。

自主的継続的な安全性向上には、事業者同士の連携及び独立した外部組織との連携が大変有効であると考えます。独立した外部組織として、他に、ATENA(原子力エネルギー協議会)は、規制当局との対話を通じた安全確保の分野で、NRRC(電力中央研究所原子力リスク研究センター)は、国内外における原子力安全技術研究成果の発電所への適用を通じて、それぞれの立場で事業者の安全性向上に資しているものと考えます。

2点目は、松久保委員ご指摘の「革新軽水炉」で頻発するコスト超過・工期延長についてです。

プラント建設の工期の延長やコスト増加には、様々な要因が影響するものと思いますが、特に新しいタイプの炉では、FOAK: First of a kind と呼ばれる、導入初期では工期の予測が難しいものが一般的には有り得ます。先行号機の延長原因を反映できたり、習熟効果が働いてくれば、工期・コストは予定通りとなってくるのが一般的です。また、長らく新規プラント建設が途絶えた事により、予定通りの工期・予算で建設を遂行する技術やサプライチェーンが劣化した事が主な原因と思われるプラントもいくつか有ります。なおこれらの国々で、その後原子力発電の計画を縮小するような動きにはなっていません。

また日本の場合、1970年以降に営業運転を開始した原子力発電所の多くで国産化率90%を超えるなど、サプライチェーンを国内に持つ強みがありますが、再稼働プラントがなかなか増えない事、建設中プラント3基の工事が中断したままである事などから、 工期通り・予算通りの建設を実現するためにも、サプライチェーンの維持・強化や人材確保・育成が課題であると考えます。

以上

<参考>第32回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(METI/経済産業省)

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