第34回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会における新井理事長意見

2022年11月28日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

20221128日開催の第34回原子力小委員会において、専門委員として以下のとおり書面にて意見提出しました。

1.原子力の開発・利用に当たっての「基本原則」の再確認

  • 原子力発電は、最も実績のある脱炭素電源のひとつで、すでに50年に及ぶ建設や運転の知見を積み重ねた確立した技術です。また、燃料の供給途絶リスクが低く、備蓄性にも優れるほか、プラントの国産化率が90%と機器製造能力と技術が国内にあるため、エネルギー自給率の低いわが国にはエネルギー安全保障上不可欠なエネルギーです。発電コストに占める燃料コストの割合が小さく、長期的には発電コストを小さく抑えることができます。
  • わが国は使用済燃料をリサイクルする再処理技術を保有しており、使用済燃料から燃料を作り出すことはSDGsの考え方にもかなうものです。
  • このような原子力発電がもたらす価値は、電力を通し広く国民が共有するもので、安全の確保を前提に最大限活用することでその価値も最大化します。したがって、「原子力発電は安全を大前提に最大限活用する」というブレない政策によって、長期的な予見性と安定的な事業環境を確保して頂きたいと考えます。

2.既設原子力発電プラントの最大限の活用

(1)再稼働への関係者の総力の結集

  • エネルギー安全保障、経済安全保障、経済性、安定雇用などの効果に鑑み、安全が確認された原子力発電プラントの再稼働の促進が必要です。安全を前提に早期再稼働を図り、稼働中のプラントは点検周期の最適化など最大限活用できる方策の検討と実施を官民協力して推進する必要があると考えます。

(2)運転期間の延長

  • IEAなど複数の国際機関が、運転期間を延長することが最も経済的なCO2削減対策であると報告しています。わが国においても原子力規制委員会が、「暦年で60年を超えて運転する場合でも、安全上必要なタイミングで劣化評価等を実施させることが可能となるような」方向で安全規制上の検討を進めています。科学的、技術的な観点から安全と確認されたプラントは最大限活用していくことが、国民の負担を増やさず、長期安定的にエネルギーを確保する最善の策と考えます。一方、立地地域等における不安の声もあり、これに配慮して検討することの重要性も理解します。

3.次世代革新炉の開発・建設

(1)市場制度と原子力発電の整合性

  • 自由化された電力市場では投資額が大きく資金回収に長時間を要する原子力発電所の建設は敬遠される傾向があります。原子力の持つ非化石価値、エネルギー安全保障などの価値を考慮して、投資回収を確実にする制度の創設が次世代革新炉の開発・建設には必要と考えます。

(2)効率的な規制、制度

  • 当協会で4年前に米国、カナダの次世代革新炉の開発者を招いて会合を持ちました。その際彼らが最も重要と一致したのが、開発の初期から規制当局が検討に加わる「許認可前ベンダー設計審査」と呼ばれている制度です。この開発者は、すでに発注を受ける段階までに至っています。わが国においても、開発者が原子力規制委員会に初期段階から設計要求や設計仕様を提示し、海外の規制との調和も考慮しながら検討を進めることが有効と考えます。

4.サプライチェーンの維持・強化

(1)国内サプライチェーンの維持・強化

  • わが国の原子力サプライチェーンは、50基を超える建設経験が示すように高い技術と技能を有しています。このことはエネルギーの安定供給はもとより経済安全保障や長期的な雇用の確保の面でも重要な特性です。福島第一原子力発電所事故以降、長期にわたる停止や建設中断で難しくなっているサプライチェーンの維持のためにも、早期の再稼働、今後の建設の明確な見通しが必要です。

(2)海外プロジェクトへの参画支援

  • IEA、OECD/NEAによれば、国際的に原子力発電市場は2~3倍に拡大すると言われています。わが国の技術をもって世界における脱炭素電源の普及および原子力安全の一層の向上に貢献していくためにも、わが国原子力サプライチェーンの海外プロジェクトへの参画を支援して頂くようお願いします。

以上

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