「GX実現に向けた基本方針」および「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」にかかわる意見提出にあたって

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 新井 史朗

原子力政策に関連する「GX実現に向けた基本方針」、「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」が示され、意見募集が行われている。

「GX実現に向けた基本方針」では、エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源として再生可能エネルギーとともに原子力を最大限活用する方針が示された。

また、「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」には以下の項目について明確な道筋が示された。

  • 再稼働への関係者の総力の結集
  • 運転期間の延長など既設原発の最大限活用
  • 新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設
  • 再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化
  • サプライチェーンの維持・強化
  • 国際的な共通課題の解決への貢献

これらの方針が示されたことは非常に意義深く、この方針が将来にわたって確固たるものとなれば、産業界も自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることが可能となる。今後の法制化など国による事業環境整備の具体化が早期に行われることを強く期待する。

原子力産業界は「東京電力福島第一原子力発電所事故の真摯な反省」という原点に立ち返り、たゆまぬ安全性向上に努め、安定運転の実績を積み重ね、国民の皆さまに信頼いただけるよう引き続き取り組んでまいる所存である。

以上の考え方の下、当協会は今回の意見募集に対して、以下の通り意見を提出した。

「GX実現に向けた基本方針」に対する意見

  • エネルギー安全保障に寄与し、 脱炭素効果の高い電源として原子力を最大限活用する方針を支持する。産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から、法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。
  • 新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉を開発・建設する方針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から、政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。

「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」に対する意見

  • 革新技術による安全性向上、エネルギー供給における「自己決定力」の確保、グリーントランスフォーメーションにおける「牽引役」としての貢献といった原子力の価値を実現していく指針を支持するとともに、産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。
  • 新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉を開発・建設する指針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。

以上

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<参考:パブリックコメントへの提出意見及び理由>

「GX実現に向けた基本方針」に対する意見

意見1

該当箇所

3ページ「2. エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組」の「(1)基本的考え方」5段落目の2行目
「供給サイドにおいては、足元の危機を乗り切るためにも再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する。」

意見

概要:
この方針を支持する。産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から、法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。

全文:
エネルギー安全保障に寄与し、 脱炭素効果の高い電源として原子力を最大限活用する方針を支持する。産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から、法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。

理由

産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させるためには高い予見性が必要であり、将来にわたってブレない方針が求められている。

意見2

該当箇所

7ページ「3)原子力の活用」3段落目
「将来にわたって持続的に原子力を活用するため、安全性の確保を大前提に、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む。地域の理解確保を大前提に、まずは廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替えを対象として、六ヶ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていく。その他の開発・建設は、各地 域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していく。あわせて、安全性向上等の取組に向けた必要な事業環境整備を進めるとともに、研究開発や人材育成、サプライチェーン維持・強化に対する支援を拡充する。また、同志国との国際連携を通じた研究開発推進、強靱なサプライチェーン構築、原子力安全・核セキュリティ確保にも取り組む。」

意見

概要:
この方針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から、政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。

全文:
新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉を開発・建設する方針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から、政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。

「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」に対する意見

意見1

該当箇所

7ページ「(2)運転期間の延長など既存原発の最大限活用」の
「①運転期間の取扱いに関する仕組みの整備」の2行目と、
8ページ「②設備利用率の向上」の1行目
「エネルギー供給における「自己決定力」の確保、グリーントランスフォーメーションにおける「牽引役」としての貢献」

9ページ「(3)新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設」の「①開発・建設に向けた方針」1行目
「将来にわたり、革新技術による安全性向上、エネルギー供給における「自己決定力」の確保、グリーントランスフォーメーションにおける「牽引役」としての貢献といった原子力の価値を実現していくため、そして足下から安全向上に取り組んでいく技術・人材を維持・強化していくためにも、安全性の確保を大前提として、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の 開発・ 建設に取り組む 。」

意見

概要:
この指針を支持する。産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。

全文:
革新技術による安全性向上、エネルギー供給における「自己決定力」の確保、グリーントランスフォーメーションにおける「牽引役」としての貢献といった原子力の価値を実現していく指針を支持するとともに、産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させることを可能とする観点から法制化などにより将来にわたり確固たるものとしてこれを維持・継続することを要望する。

理由

産業界が自信をもって原子力事業への取り組みを前進させるためには高い予見性が必要であり、将来にわたってブレない方針が求められている。

意見2

該当箇所

10ページ「②事業環境整備の在り方の具体化」の1行目
「上述①の価値実現に向けて、脱炭素電源 である次世代革新炉 への投資 を促すため、初期費用に係る資金調達負担の大きさや回収期間の長期化、市場価格の変動に伴う中長期的な収入の予見性の低さ、バックエンド事業の不確実性などの課題の解決に向けて、海外事例も参考としつつ、実証炉に対するプロジェクトベースでの政府支援、収入の安定化に資する制度措置等、事業環境整備の検討・具体化を進める。」

意見

概要:
この指針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。

全文:
新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉を開発・建設する指針を支持する。次世代革新炉への産業界からの投資を促す観点から政府による支援、制度措置等の事業環境整備の検討・具体化を早期に進めることを要望する。 

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