福島から未来への架け橋に~ふたば未来学園の開校にあたって~

2015年4月30日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 服部 拓也

本年4月に「ふたば未来学園」が双葉郡広野町に開校し、双葉郡の子供たちは生まれ育った地元の高校に通学できるようになった。この学校は、震災をきっかけとして作られた「持続可能な地域づくりに貢献し、全国や世界で活躍できる人を育てる」という福島県双葉郡教育復興ビジョンを体現する学校として設立された。社会的課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決等の国際的素養を身につけることを目的とした「スーパーグローバルハイスクール」の指定も文部科学省から受けている。また、各界の有志による「ふたばの教育復興応援団」も設立され、著名人も授業を担当するという。

4月に当協会が開催した「第48回原産年次大会」では、福島で復興に向けて積極的に取り組んでいる若い世代の声を発信するセッションを設けた。登壇した若者からは、「震災により、あらためて故郷の良さや自分たちの幸せについて真剣に考えることになった」、「さらに若い世代にも頑張ってもらいたい」という声が聞かれ、前向きに歩む姿勢が伝わってきた。
復興を考えるにあたっては、近い将来はもちろん数十年先の福島をどうするのかという視点が欠かせないことから、これからの子供たちにも様々な役割が期待されるであろう。同セッションでは「子供たちが遊ぶ声を聞き、笑顔を見て初めて復興を感じた」との声もあったように、復興にはインフラ整備も必要だが、「ひと」の回復を目指すこと、そしてそれを支える仕組みを整備することが非常に重要である。そうした視点から、ふたば未来学園の開校は大きな一歩といえる。

ふたば未来学園の生徒の皆さんには、地元の仲間たちとともに楽しい学園生活を送りながら、自らの目標を見つけ、努力、成長していただきたいと思う。目標の中には、地元福島の復興につながるものから世界に目を向けたものまで幅広いものがあるだろう。「スーパーグローバルハイスクール」や「ふたばの教育復興応援団」の取り組みをはじめ、学園にはそうした目標を具現化するためのきっかけとなる学びやチャンスが多くあるものと思う。福島の地で学んだ学園の生徒が、ふるさとを創り、日本や世界の持続的発展のために国際社会へと飛躍する姿を応援し続けたい。

以上

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