第25回 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会における上田委員発言内容

2025年7月9日

一般社団法人日本原子力産業協会

(2)原子力人材育成に関する最近の動向及び今後の在り方について

  

日本原子力産業協会の上田でございます。ご説明ありがとうございました。

まずは、事務局資料2-1(*)の5ページにございます当協会の産業動向調査のデータにつきまして、補足させていただきます。当該データは「原子力人材の確保状況」との表記となっておりますが、実際には当該年次における「採用」に関する状況を示したものでございます。その点をご理解いただけますと幸いです。

私からは、3点申し上げます。

1点目は、ANECについてです。原子力産業の将来を支える高度専門人材の育成は、産業界にとって極めて重要な課題です。ANECのように産官学が連携し、体系的かつ持続的に人材を育てる枠組みは、技術継承やサプライチェーンの維持に大きく寄与すると認識しています。今後の在り方については、現場技能者の人材育成の観点から、高専や工業高校との連携強化・対象拡大も検討いただければ幸いです。文部科学省の支援のもと、高度専門人材、現場技能者など多層な人材確保・育成の取組が、継続・発展していくことを期待しています。

2点目は、出前講座についてです。説明いただきましたとおり、出前講座は、参加者のエネルギー問題に対する理解や関心の向上に高い効果が確認されていますが、講座を実施している企業や団体間において、講座内容や受講者層について十分コーディネートされていないことや、講師不足などの課題がございます。まずは、産業界として「出前講座に関する共通のプラットフォーム」を設け、講座品質の向上、各組織間の連携強化による体系的な実施、新規講師の確保に取り組んでまいりたいと考えております。本来、エネルギー教育は一義的に国の仕事であります、是非、エネルギー政策基本法や第七次エネルギー基本計画の趣旨を踏まえ、このプラットフォームに対し国からの援助をお願い申し上げます。

産業界の悩みとして、出前講座は民間の取り組みであるがゆえに、学校の方針や教授会などの判断で受け入れが難しいケースがあります。文部科学省から学校や教育委員会に対し、エネルギー・放射線教育の意義を呼びかけていただき、こうした民間の取り組みが円滑に進みますよう、文部科学省としての力添えを賜りたく、お願い申し上げます。

3点目は、エネルギー教育についてです。エネルギー教育は、自然科学の視点で捉えられがちですが、日本の将来を見据えた時に、社会科学的視点も極めて重要です。例えば、中学校の公民の教科書では、「地球社会と私たち」という単元で、資源・エネルギー問題が扱われており、文部科学省や教育関係者の取り組みに感謝いたします。

エネルギー教育の一層の充実化のため、当協会では、社会科の教員の方々とも対話を始めております。その中で、社会科のカリキュラム上、エネルギーや環境問題を扱うのは、高校入試前になることが多く、じっくり生徒に考えさせる時間が取りにくいという課題が指摘されました。

学校におけるエネルギー教育を補完し、いくつかの教科にまたがるエネルギー教育に横串を刺す意味でも、出前講座は効果的と思いますので、改めて、支援をお願いしたいと思います。

以 上

<参考>

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/shiryo/1422932_00035.htm

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