第26回 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会における上田委員発言内容

2025年8月18日

一般社団法人日本原子力産業協会

(1)革新炉の取組

「常陽」については、運転再開までのロードマップと再開後の研究計画を明確化し、国内外との連携を強化することで、世界最先端の高速炉研究拠点としての役割を発揮していただきたいと考えます。また、医療用RIの安定供給や先端利用など、社会的価値の高い活用にも期待します。これにより学生や若手研究者の関心を高め、人材確保にもつながります。

高温ガス炉HTTRについては、国際的優位性を活かし、計画や成果をわかりやすく発信することで、若い世代や海外からの協力を呼び込むことが重要です。研究炉開発での規制対応や設計・建設の経験から得られる知見は、日本全体の原子力の安全、信頼をより高いものにするために必須であり、将来の次世代革新炉の開発にも活かせるため、産業界との共有をお願いします。 

(2)基礎研究の在り方

本年4月の当協会年次大会で、米原子力エネルギー協会(NEI)のジョン・コーテック副理事長は、米エネルギー省(DOE)が数十年にわたり大学や産業界への研究助成を継続し、その成果として大学発の技術が小型モジュール炉(SMR)として商業化に至った事例を紹介しました。例えば米ニュースケール社は、DOE支援を受けた大学研究を起点に、長年の開発を経て2020年代初頭に商業化段階に入りました。

我が国においても、2050年のカーボンニュートラル実現などを見据え、次世代革新炉や関連技術の研究開発において、基礎研究から商用化までの明確なロードマップを描き、継続的かつ一貫した支援を行うことが重要です。その過程で、過去の基礎研究の成否に関する要因を分析することは、研究課題の選定や資源配分の最適化に資するものと考えます。基礎研究の多くは製品化・商用化に至らないのが一般的ですが、成否要因を明らかにすることで、研究開発をより効率的かつ戦略的に進めることが可能になると思います。

さらに、基礎研究の段階から原子力への国民理解と関心を高めるため、例えば宇宙探査機用原子力電池など将来性のあるテーマについて積極的な情報発信を行い、社会全体で原子力の意義や可能性が共有されることを期待します。

以 上

<参考>

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/shiryo/1422932_00036.htm

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