第28回 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会における上田委員発言内容

2025年7月18日

一般社団法人日本原子力産業協会

(1)  核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組について

世界的に、脱炭素エネルギーとして、原子力平和利用の声が高まる中、それを支える核不拡散・核セキュリティ体制の強化が一層重要になっており、日本の果たすべき役割も大きくなっています。そうした中で、ISCNがINSENなどと連携し、国際的な人材育成や技術支援を進めていることは、日本が信頼されるパートナーとして国際的な存在感を示す、意義ある取り組みだと受け止めています。

また、ISCNの科学系YouTuber「GENKI LABO」とのコラボレーションによる動画配信のような広報活動は、専門性の高い核セキュリティの重要性を一般の方や若い世代にわかりやすく伝える有意義な取り組みです。

引き続き、国際連携の強化に加え、新規導入国の多様なニーズの把握や、産業界の知見やニーズを反映した柔軟な対応がさらに進むことを期待しています。

(2)有識者ヒアリング(東京科学大学 相楽教授)

東京科学大学における核不拡散・核セキュリティの教育が、講義や演習に加え、国際連携や現場実習を通じて体系的に構築されている点を高く評価しております。例えば、核セキュリティスクールにより、東京科学大学の学生のみならず、他大学や高専、さらには社会人まで幅広い層に学びの機会を提供している点は、我が国における人材育成基盤の裾野を着実に広げるものとして、非常に意義深いと感じました。さらに、学生が研究に加えてインターンシップなどを通じて実務経験を積む機会が設けられていることは、産業界との接点という観点からも重要であり、今後こうした教育の場と実務の現場がさらに連携していくことを期待しています。

(3)今期の主な論点

今期の論点案で示された「人材育成」と「研究開発」の方向性は、いずれも重要な視点だと受け止めています。まず人材育成については、核セキュリティ分野における国際協力の広がりを踏まえ、INSENなどの国際枠組みと連携した、国内教育体制のさらなる充実が求められています。ISCNの人材育成の取組についても、国際機関との協力の下で進められている点に、期待しています。

また、技術開発において「社会実装」の視点が重視されていることは大変重要です。とくにAIやサイバーセキュリティなどの先端分野では、国際ルールや現場実務との連携を意識した設計が不可欠です。今後、こうした研究成果が制度や運用に的確に反映される仕組みについて、議論が進むことを期待しています。

以上

<参考>

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm

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