環境省、野生動植物への放射線影響に関する5年間の調査結果取りまとめ

2016年8月31日

 環境省は8月30日、福島第一原子力発電所事故に伴う野生動植物への放射線影響に関する2012~2015年度までの調査結果を取りまとめた。発電所から半径20km圏内の旧警戒区域内で、野生動植物試料の採取、放射能濃度の測定、被ばく線量率の評価、ツバメの繁殖調査、植物の発芽試験、定点カメラ撮影による環境変化の記録などを実施してきたもの。
 調査結果によると、約80種の野生動植物から試料を採取し調査を行ってきたが、これまでのところ、放射線との明確な因果関係を示す変化は確認されなかったとしている。また、外部形態の観察では、2014年度にモミの形態変化が確認されたものの、現時点で放射線被ばくとの因果関係は明らかになっておらず、発生要因を特定するための調査を行っている。
 また、被ばく線量率の推定に基づく放射線影響評価では、一部の地域・動植物種で影響が生じる可能性を否定できないことが示されたが、より大きな影響が生じうる条件を設定した十分に保守的な推定を行ったものであることから、実際に影響が生じていることを示すものではない、と評価している。種子の発芽率やツバメの産卵状況に関する調査でも、放射線との明確な因果関係を示す変化は確認されなかった。

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