米規制委、3年ぶりに新規原子炉の建設・運転を認可
米原子力規制委員会(NRC)は4月30日、DTEエナジー社がミシガン州のフェルミ原子力発電所サイトで計画している3号機増設計画に建設・運転一括認可(COL)を発給する方針を表明した。同計画のCOL審査における所定の公聴会が完了し、安全性と環境影響に関するNRCスタッフの評価により、COL発給に対する障害が適切に取り除かれたと判断したもの。
NRCは2012年2月にジョージア州のアルビン W.ボーグル3、4号機増設計画、同年3月にサウスカロライナ州のバージル C.サマー2、3号機増設計画にCOLを発給しており、フェルミ増設計画へのCOLは3件目となる。10日後には正式に発給すると見込まれているが、DTEエナジー社では「実際に建設するという判断はまだ下しておらず、長期的な選択肢として保留しておく」との見解を表明した。
先行する2件ではウェスチングハウス(WH)社製・AP1000を採用しているのに対し、フェルミ計画ではGE日立ニュークリア社(GEH)製・ESBWR(高経済性・単純化BWR)の建設を想定。出力159.4万kWの第3世代プラス設計で、受動的安全系により電源喪失時に運転員の介入無しで7日以上の原子炉冷却が可能だという。2014年9月にNRCは、同設計が米国の安全・規制要件すべてを満たした標準設計であるとする認証(DC)を発給。COL発給条件の一つがクリアされていた。
ただし、建設と運転の認可に際しNRCはいくつかの条件を提示。それらは、(1)過酷事故の影響緩和策や使用済み燃料貯蔵プールへの水位計設置命令など、福島第一事故後に追加した要件関連で具体的アクションを取る、(2)既存のBWRで承認済みの手続きに基づき、最初の起動時に原子炉蒸気乾燥機のモニタリングと分析を行う、(3)緊急時対策計画と手続き関連で福島第一事故後の側面から起動前スケジュールを設定する--などとなっている。