英国:原子力技能関連3団体が原子力産業界の人材育成促進で連携合意

2015年5月1日

©英国立原子力技能アカデミー(NSAN)

   ©英国立原子力技能アカデミー(NSAN)

 英国の原子力協会(NI)、国立原子力技能アカデミー(NSAN)、および英国化学工業会(IChemE)の3団体は4月29日、原子力部門に多くの若手技術者を呼び込むための努力を結集し、緊密に連携していくことで合意に達した。同国ではヒンクリーポイントC建設計画を始め、1995年に最後の原子炉が運転開始して以来の新設計画が進展しつつあることから、これらを支えていく新たな労働力を確保し、原子力産業界全体の専門技術レベルを最大限に引き上げるのが主な目的。2030年までに1,600万kWの原子力設備新設を目指す英国の原子力ルネサンスは、実習生から大学院生レベルまで原子燃料サイクル全体で幅広い就業チャンスがあるとの理解を得るために至急の必要性を明示したと指摘している。

 英国政府の原子力技能同盟がまとめた労働力評価報告によると、原子力産業界の労働力は現在の70,000人が2021年までに98,000人に増加する見通し。施設のエンジニアリングや建設、運転、廃止措置を直接支えるサプライ・チェーンにおいては、現在進行中の計画用に年間3,000人の技術職、3,500人の専門職を補充する必要があると予測した。また、製造部門で必要となる労働力は2014年現在の4,000人から8,500人に拡大するとしている。

 さらに、原子力産業協会(NIA)が科学・技術やエンジニアリング、数学を専攻する若者1,300人を対象に昨年実施した調査によると、回答者の約3分の1は原子力産業界で働く意思がなく、質問を受けた7人中1人は原子力部門の就業チャンスについて何も知らなかったという。このような知識ギャップに3団体は真っ向から取り組み、原子力産業を魅力的な就職先としてプロモートしていく方針。今年の後半にも、3者間の最初の共同プログラムを公表するとしている。