韓国の電力需給基本計画案:2029年までにさらに2基新設し、原子力設備を約24%に

2015年6月11日

韓国の原子力発電所サイトと新規サイト

韓国の原子力発電所サイトと新規サイト

 韓国の産業通商資源省(MOTIE)は6月8日、石炭火力の比重を減らす一方、原子力と再生可能エネルギーで設備増強することを骨子とした第7次電力需給基本計画案を国会に提出した。2029年まで15年間の電力安定供給を目指したもので、現行計画に加えて原子炉をさらに2基新設する一方で石炭火力発電所4基分の建設計画をキャンセルするという内容。需要を満たせる設備の建設と温室効果ガスの排出量削減に配慮しており、2029年の設備予備率は22%水準を目標にしたと説明した。同国最古の原子炉である古里1号機(PWR,58.7万kW)の運転継続については、安全性と経済性、電力需給への影響を総合的に判断した上で判断する方針。同基本計画案は公聴会や電力政策審議会などを経て月末までに最終確定されるとしている。

 同基本計画案によると、40年以上稼働した石炭火力発電所をリプレースする場合、既存の容量の範囲内で環境への影響が改善されている場合に限り建設を許可する。その結果、2029年の電源設備構成は定格容量基準で石炭が26.7%、原子力が23.7%、LNGが20.5%、再生可能エネルギーが20.2%となる見込み。ピーク時を基準とした場合は、石炭32.2%、原子力28.5%、LNG24.7%になるとした。第6次の需給計画と比較すると、石炭が2.5ポイント減少するのに対し、原子力とLNGの割合はそれぞれ1.1ポイントと0.4ポイント上昇することになる。

 原子力設備の増強については、150万kW級の原子炉を2028年と2029年に1基ずつ完成させる。韓国水力・原子力会社(KHNP)が三陟(サムチョク)1、2号機、あるいは盈徳(ヨンドク)3、4号機を建設する意向書を提出する予定で、立地に関する最終決定は2018年頃に確定することになる。1978年に営業運転を開始した古里1号機の運転継続の件は、10日と12日に開催される原子力発電の専門委員会とエネルギー委員会における議論などを通じて各界の意見をまとめ、18日までに最終決定するとしている。

 現在、韓国では23基、2071.6万kWの原子力発電設備が稼働中のほか、5基、660万kWが建設中で、24基目となる新月城2号機は2月に初併入済み。また、4基、560万kW分の建設を計画しているが、それ以降の新規立地点として政府が選定した三陟と盈徳では、福島第一事故を受けて住民の原子力に対する不安と反対が高まっている。2014年に三陟市で行われた法的拘束力のない住民投票では約85%が反対票を投じる結果になった。