ロシア:ブラジルで先進原子力技術ワークショップ開催

2015年7月3日

 ロシアの原子力総合企業ロスアトム社は7月1日、同国が開発した近代的な原子力技術を紹介するワークショップをブラジルのリオデジャネイロで開催したと発表した。ブラジルの国家エネルギー計画では2025~2030年の間に東北部と南東部それぞれに200万kWの原子力発電設備建設が盛り込まれていることから、それらの開発プロジェクト受注につなげるのが狙い。同社は6月に国際ネットワーク子会社の1つ、「ロスアトム・ラテンアメリカ社」の事務所をリオデジャネイロに設置する商業登記も済ませている。

 同ワークショップには、ブラジル側から原子力委員会(CNEN)や3基の商業炉を建設・運転中の原子力発電公社のほか、国営重電機器メーカーのNUCLEP社、商業用燃料サイクル事業を実施しているブラジル原子力産業会社(INB)などの幹部が出席した。冒頭挨拶でブラジル原子力開発活動協会(ABDAN)の総裁は原子力開発の重要性について言及。同国の産業と国民にクリーン・エネルギーを提供するのみならず、国の社会経済レベルの向上に役立つとしたほか、医療や農業分野での放射線利用や海水脱塩にも適用できる点を指摘した。また、原子力発電公社の理事が新規原子炉建設の概要と実施見通しについて発表。エネルギー需要の増加に取り組むブラジルにとって、原子力開発はエネルギー・ミックス多様化プログラム全体の中心的部分を占めていると説明した。

 これに対して、ロスアトム・ラテンアメリカ社CEOがまず、国際市場その他における同社の競争上の優位性を強調した。続いて、国際展開促進・マーケティング子会社のルスアトム・オーバーシーズ社が国外の原子炉建設計画に同社が提案している包括的支援や最も効果的な財政支援策を紹介。具体例として、トルコの原子力発電導入計画用に設立したアックユ原子力発電会社が「BOO契約モデル」による発電所建設の主な特徴を披露し、事業者に選定された同社が対象施設を設計建設・所有・操業する方式であることを説明した。また、エンジニアリング部門強化のため昨年、関係会社を統合して設立したASE-NIAEP-AEP社の代表は、原子炉の建設・エンジニアリング、および放射性廃棄物と使用済み燃料の管理、廃止措置サービス等に関して同社が取っている最新戦略を解説。ロシア型PWR(VVER)技術や研究炉、第3世代設計の開発についても、同社が様々なプロジェクトや建設計画を通じて培ってきた経験をアピールした。