スペイン安全委:高レベル廃棄物等の集中中間貯蔵施設建設サイトは適切と判断

2015年7月29日

ATCの完成予想図©ENRESA

      ATCの完成予想図©ENRESA

 スペインの原子力安全委員会(CSN)は7月27日、使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)、および中レベル廃棄物の集中中間貯蔵施設(ATC)の建設予定地であるクエンカ県ビジャル・デ・カニャス町について、安全性を保証するための地質学的特徴と人工バリア設計の観点から評価した結果、建設に適しているとの判断を下した。この結論を盛り込んだスタッフ報告書を5名の委員が4対1で承認したもので、CSNは今後、同報告書を産業エネルギー観光省に提出。同省大臣が事業の実施主体である放射性廃棄物管理公社(ENRESA)への建設許可発給について最終判断を下すことになる。規制上の承認審査は今後も続けられるが、CSNがサイトは建設に適切との認識を正式に示したことにより、ENRESAには放射性廃棄物施設関連規制に基づく事前承認が与えられ、サイトへの接続道路など外部インフラ建設を含む予備作業の開始が可能になる。

 スペインでは2006年6月に使用済み燃料と放射性廃棄物の管理に関する国家政策・戦略を示した第6次総合放射性廃棄物計画を承認。この中で廃棄物を最終的に処分する方策の決定は先送りする一方、最終処分までの60年間、廃棄物を乾式貯蔵するATCの建設は最優先事項と位置付けている。CSNの報告書によると、ビジャル・デ・カニャス町は同総合計画が定めた必要項目を適切にカバーしており、サイトとして正当であると評価。技術的に同地を除外する現象は見受けられないと明言した。ただし、掘削作業の開始からATCの操業期間全体にわたって安全性と放射線防護を維持するため、CSNは補足的な対策計画の実施により同サイトの状態や現象をモニタリングするよう要求している。

 ENRESAは2009年にATC受け入れ自治体の公募を開始。応募してきた14自治体の中から2011年12月にビジャル・デ・カニャス町を正式に選定した。昨年9月には主要なATCの土木工事で総額約2億1,800万ユーロ(約300億円)の入札手続を開始しており、このうち310万ユーロ(約4億2,000万円)の設計エンジニアリング支援業務の発注先を今年1月、TECNATOM社とGas Natural Fenosa社に決定している。