米原子力規制委:原子力発電所の上半期の安全性能評価結果を発表

2015年9月8日

 米原子力規制委員会(NRC)は9月3日、国内で稼働するすべての商業炉について今年前半(6月末まで)の安全パフォーマンス評価の結果を発表し、全99基のうち96基までを安全性能が良好な上位2つのカテゴリーに分類したことを明らかにした。このような評価結果は各発電所宛てに連絡書簡を送付済みとなっている。

 米国では原子炉監督プログラムとして、(1)原子炉安全、(2)放射線安全、(3)警備・テロ等への防護措置、の3分野に関する戦略的パフォーマンスを監督。今回の発表によると、NRCでは上級幹部とスタッフが年に2回、各原子力発電設備において最新の原子炉安全性能指標と点検結果、およびその他の該当情報を系統的に審査する。まず、最低限実施する必要がある通常の「基本点検プログラム」で評価し、追加の検査を行う必要があるか判断。NRCによるこうした性能評価の基盤と特定された不備への取り組み活動について、すべての原子力発電所関係者に明確に理解させる重要性を強調している。

 今年上半期に安全性能が最高レベルという第1カテゴリーに分類されたのは75基で、これらは安全・セキュリティ上の性能目標すべてを全面的に満たしていた。第2カテゴリーとして、安全上の重要度が低いレベルの項目で1~2件の解決が必要と評価されたのは21基。この性能レベルでは、追加点検と是正措置に対するフォローアップなどの規制監督が行われることになる。なお、21基のうちデービスベッセ発電所とセントルーシー1号機は、指摘された課題を報告期間終了後に解決したことから、分類評価が第1カテゴリーに変更された。

 第3のカテゴリーには、安全性能レベルの劣るものが分類されるが、今回は該当無し。このレベルの場合、NRCが原因部分に集中した監督とさらなる点検を行うことになる。しかし、第4のカテゴリーにはアーカンソー州のアーカンソー・ニュークリア・ワン原子力発電所(ANO)1、2号機とマサチューセッツ州のピルグリム発電所が分類された。これら3基には規制上、最も高いレベルの監督が必要で、ANOの場合は安全上非常に重要な発見事項が2件、ピルグリムについては安全上の重要度は低・中程度だが、長年にわたる性能課題が指摘されたとしている。現地の報道によると、今回の指摘を受けてマサチューセッツ州知事がピルグリム発電所の事業者であるエンタジー社に対し、根本原因に関する適切な分析を実施するとともに、必要な修理や是正措置すべてを完了するよう促した。