ウクライナ:フメルニツキ3、4号機完成計画でロシアと結んだ協定の廃棄法案を可決

2015年9月18日

 ウクライナ議会は9月16日、フメルニツキ原子力発電所3、4号機を完成させるために閣僚会議が2010年にロシア政府と結んだ協力協定を無効とする法案を234対0、棄権73で承認した。同様に、これと関連する両炉の立地と設計、および建設に関わる国内法の無効化法案も230票の賛成により可決。同計画の受注企業であるロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社を、チェコのスコダ社など他の欧州企業に変更するための手続が進展している。

 ロシアとの協定廃棄はウクライナのA.ヤツェニュク首相が7月に議会に提案していたもので、ロシアによる天然ガス供給停止やクリミア併合など、紛争が続くロシアへのエネルギー依存を軽減するのが目的。エネルギー石炭相は、南ウクライナ原子力発電所用の核燃料調達先もウェスチングハウス社などその他企業に多様化することを提案していた。

 両炉の建設工事は1980年代半ばに始まったが、チェルノブイリ事故により1990年に作業が中断した。ASE社が落札した完成計画では、100万kW級ロシア型PWR(VVER)2基の完成を2016年に設定。総工費50億~60億ドルのうち、設計・建設や試運転、およびロシア側から供給する物品と役務のための資金は、ウクライナ政府の保証によりロシアが融資することになっていた。今回、ロシアとの協定を無効化するにあたり、ウクライナ議会は「協定に基づく義務事項をロシア側が怠った」ことを理由としているが、詳細は公表していない。