米GEH社:ESBWRの詳細設計開発でDTE社との連携継続

2015年10月7日

ESBWRの断面図©GEH社

       ESBWRの断面図©GEH社

 米ノースカロライナ州を本拠地とするGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社は10月3日、受動的安全システムを備えた第3世代プラスの設計として開発したESBWR(高経済性・単純化BWR)について、ミシガン州のDTEエナジー社とともに詳細設計開発を進展させていくと発表した。DTEエナジー社は今年5月、ESBWRを採用した新設計画としては初となるフェルミ3号機増設計画について米原子力規制委員会(NRC)から建設・運転一括認可(COL)を
受領したものの、「建設実施の判断はまだ下しておらず、長期的な選択肢としてCOLを保持する」との見解を表明していた。GEH社では今回の計画を、ESBWRの商業化に向けた建設的かつ重要なステップと位置付けている。

 GEH社によると、ESBWRはその炉心損傷頻度に基づき、世界でも最も安全と認められた原子炉設計。施設内外で交流電源が喪失した際や作業員による操作が無い場合でも7日以上の自己冷却が可能だとした。また、動的安全システムを備えた原子炉よりポンプや作動機器を約25%削減しており、キロワット当たりの運転・保守および人員コストは最も低いとしている。同設計に対してNRCは昨年秋、米国の安全規制要件をすべて満たしたとして設計認証(DC)を発給しており、ESBWRはAP1000やABWRと並んで、米国で建設が許される標準設計の1つとなっていた。

 GEH社としては、DTE社が今後、低炭素な電源をベースロード用に追加すると決定した際、一層速やかに作業の開始が可能になるよう、両社の協力関係を拡大していく考え。共同でESBWR設計の開発をさらに進めるとともに資源要件の確定作業などを行うとしている。現在、DTE社のフェルミ3号機計画のほかには、ドミニオン・エナジー社がノースアナ原子力発電所3号機増設計画で同設計の採用を予定しており、来年にもNRCがCOLを発給すると見込まれている。一方エンタジー社は今年2月、ESBWRの採用を想定して申請していたグランドガルフ3号機のCOL申請を取り下げたいとNRCに要請。NRCは9月22日付けの連邦官報で、これを正式に撤回したことを公表している。